ただのフィギュアスケートファンのロシア語翻訳

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昌磨くんの移籍について、ゴンチャレンコさんへのインタビュー

昌磨くんついに旅立っちゃいましたね。一応ただの合宿とはいえなんだか寂しい気持ちに。どうか実り多いものになりますように!

今回は、こちらの記事の翻訳です。

rsport.ria.ru

昌磨くん

読んで結構面白かったので訳そうと思い始めてから4日も経ってしまった(;^_^A

平日はなかなか時間なくて難しいですわ~。


落胆と"セップク"の代わりはトゥトベリーゼ:昌磨は何のためにエテリの元へ行くのか

アナトリ・サモフヴァロフ

 

2018年オリンピック銀メダリスト宇野昌磨は、ロシア人コーチのエテリ・トゥトベリーゼ元へ合宿に来ます。私、アナトリ・サモフヴァロフは、この日本人が長期間いることになるだろうと確信しています。そして、ロシアの名誉コーチ、インナ・ゴンチャレンコと一緒に、すでにタイトルを持っている選手にロシアの厳しさが何のために必要なのかを考察しました。

 

宇野昌磨は単調にのんびりとオレンジ色のバスケットボールをしののめ色のコンクリートの床にトントンついていて、5メートル先には、あたかも監視人のように、彼のコーチの一人、樋口美穂子が見守っていました。平昌の銀メダリストの目には嫌悪か絶望がありました。彼は通行人に全く反応しませんでした。

そこへ、肩越しに、ウォームアップ中のアリーナ・ザギトワを見ながら私にぶつかり、大急ぎで走り過ぎる青年が来ました。"Excuse me, sir!"と言われ、振り向くとそこには、ふさふさの巻き毛、少し斜めな感じの目、そして学生らしい白い歯の笑顔。私の前でネイサン・チェンが謝りました。一方、宇野は既に近くのヨガマットに静かに横たわっていました。樋口コーチの目の前で、依然として沈んだ悲しそうな表情でした。

 

バンクーバーのダグ・ミッチェル・サンダーバード・スポーツ・センターでのこの自虐的な瞑想は、グランプリファイナルでチェンにだけ負けたことに対してするには十分でしたが、彼はまた"子供っぽい"サルコウをやってしまい、フリップは回転不足でした。そして数か月後、日本のホームアリーナで世界選手権のメダルを逃してしまいました。彼は礼儀正しく樋口コーチの元から去り、近々トゥトベリーゼの合宿に行かなければなりません。目的は…。

 

宇野のような選手は、チェンや羽生と対等に戦うべきだということは分かりますが、トゥトベリーゼは何を彼に与える力があるのでしょうか?このテーマを話すために、私は今までと同じようにフィギュアスケート界を熱心に見守るインナ・ゴンチャレンコに家事の手を止めてもらいました。窓の向こうのダーチャでの日々は、彼女の考えを曇らせることはありません。

 

「昌磨がトゥトベリーゼのところで手に入れられる主なものは、彼女の練習のやり方(システム)ですね。」と、インナ・ゲルマノヴナはまず触れました。「このやり方で練習すれば、安定性を得ることができる望みがあります。宇野は私たちみんなが"クリスタル"で練習する女子たちの例で分かっているような結果を得るために行くんです。この日本人の資質は驚くべきものだけど、彼はもう若くはない。サーシュカ・サマリン(宇野はサマリンより半年年上)と同い年なんです。出来上がっている。才能があるし特別。向上心がある。けれど、こういう人たちには"単に素晴らしい演技をする”人たちもいれば、"例えばアクセルに失敗するといった許されない失敗をしてしまう"人たちもいます。私には昌磨が鉄壁の安定性を探しているように見えます。何かをマスターし、永久に自分のものになる感覚。それしかないでしょう。」

 

トゥトベリーゼは東洋のメンタリティを持った選手を今まで指導したことがありません。「彼らは疑問を投げかけないように育てられています。自分の考えにさえね。うちの選手が個人的な疑問でぐずぐずしている間にアジアの子たちは“(リンクに)行って(練習を)している。」と、彼女はアンドレイ・シモネンコのインタビューで語りました。

宇野が樋口コーチのところで“行ってしていた”ということに疑いはありません。彼は、仕上げのトレーニングの終わりまで、カナダのフローリングにボールをつくことでさえもおとなしくやっていました。

「練習中の昌磨については疑う余地がありません。私は彼がまだジュニアのころから覚えていますが、彼はもうすでにその時まじめでよく練習する意志の固い男の子でした。だから、どこかへ行ってなぜかなくしてしまったものを探しているんです。そして、この地球のだれより前を進んでいるエテリ・ゲオルギエヴナのところへ行くのは論理的です。」

 

- 宇野昌磨はどれくらいトゥトベリーゼのやり方を引き上げますか? -とゴンチャレンコに質問しました。

 

- これは面白い質問ですね。彼が日本でやっていたのとは全く異なるやり方なことは確かです。前のコーチたちは彼にとてもあたたかく接していました。おそらく彼はただそういう関係に飽きてしまい、彼自身がもっと厳格さを望んだのでしょう。彼女のような職人にはとにかく激しい感情を出すのではなく練習して見せることが必要です。

「そしてもうひとつ日本の選手たちは(ロシア)国内では隠れる必要がないことが分かっています。アジア全体でも同じ。アジアの選手たちはほとんどみんなある時点で国外に出て競技生活を続けると言われますが、これは悪いことではありません。」と、トゥトベリーゼはシモネンコのインタビューで言っていました。

 

「各国のスクールの競争は面白い体験です。」と、ゴンチャレンコは答えました。「以前はロシアのフィギュアスケートの化身はミーシンでした。そして今はトゥトベリーゼ。日本人たちやアメリカ人たちは、それぞれ自分たちのスタイルでやってきました。宇野は、日本のスクール出身の出来上がったスケーターで、目の形(外見)ではなく、スケーティングスタイルで日本人であることがわかります。柔らかさ、適応性、日本の滑らかさはなんて正確なんでしょう。トゥトベリーゼのやり方とブレンドされた後、彼がどんなスケーターになるのか、私は専門家としてとても興味があります。この事から何が起こるかしら?」

 

おそらく、少なくとも今より悪くはならないということでしょう。なぜなら、トゥトベリーゼは血統としかるべきパスポートを持った"最終形"の専門家という名を持っているのですから。この日本製品は、深圳か広州の新しい工場のものではなくて、もっと魅惑的な"made in Japan"だということを見せつけています。トゥトベリーゼのところではチューニングとゴムの交換が必要なだけ。そうでしょう?

 

「とにかく、悪くなるということはありません。なぜならこのスケーターはすでに大人です。」と、ゴンチャレンコは同意しました。「そして、彼は自主的に練習できる選手です。靴ひもを結ぶことは学ぶ必要がありません。気候と新しい日常生活に慣れるには時間がかかるという別の問題はありますが、人がやってきて、すぐに成功するというようなことはありません。」

 

- オリンピックまで彼とトゥトベリーゼには時間がありますね。

 

- ついでに言うと、男子シングルはオリンピックに向けて最も予測をされる競技ですね。可能な限り難しい四回転ジャンプの闘いになり、失敗しなかった人が勝つでしょう。トゥトべリーゼは、この必要不可欠な揺るぎない安定性を与える能力があります。エテリ・ゲオルギエヴナは、いつも難しいことを求めます。もし、彼女のところの女子たちが一番難しい四回転を跳ぶなら、男子選手たちからはいつも何か限界を超えたものを求めるに違いありません。そして彼女はそれをどういうわけかやらせることができます。

 

- 一方で、モリス・クヴィテラシヴィリは長い間"クリスタル"で生活していますが、いくつかの普通のエレメンツを行い、普通の順位を取り、誰も彼が並外れたことをすることを求めていませんね。


- 私は子供のころからモリスを知っています。彼は独特な精神を持ってる子で、自分の神経系統のために結果を勝ち取っています。私の意見では、すばらしい結果です。モリスがトゥトベリーゼのところへ行く前どうだったか、そして彼女がコーチになってどうなったのか思い出してください。他のコーチでは彼がもっと良い結果を出すことはできなかったでしょう。


- 宇野はトゥトベリーゼのところにチェンや羽生にどうやって勝つのかを知るために行くのですね。


- もちろん。私の意見では、彼の選択には、世界中に見せ、広く議論されたジェーニャ・メドベージェワの行動が影響したと思います。みんなが事態を観察し推論しました。また、これは昌磨の練習のやり方の選択にも影響していると思います。今はただの予測ですが、彼はオリンピックへの準備のためにはトゥトベリーゼのやり方が一番彼に合っていると決めたように見えます。


- トゥトベリーゼにとっては何が難しいでしょうか?


- 昌磨のようなスケーターには、多くの個人的な注意を払う必要があるでしょう。練習時間についても練習場所についても。だって彼を小さな子供たちと一緒には練習させられない。コーチもまたある立て直しを経験することになるけれど、その後にはとても興味深くそして明るいこの選手の演技を私たちは見ることができるでしょう。


- 宇野が必要としているのはトゥトベリーゼ自身ですか?それとも伝説を作る可能性を持っている技術面の専門家セルゲイ・デュダコフですか?


- 昌磨の技術面の構成要素は素晴らしく、同時にそれは彼個人が創り上げたものです。彼は確かな成長をしていて、確かな調整をされた少年です。彼にまず第一に必要なのは技術ではありません。彼がいた環境よりも、よりハードなシステムとより厳格なやり方です。

宇野昌磨は、問題に突き当たっても、全世界に自身の心理的難しさについて語り競技を休むことも、周囲の誤解でプロの"セップク"をすると脅すことも、自分でルールを決めてコーチと一緒に遊ぶこともあるカナダの微笑むオーサーのところへ行くこともなく、厳格なスクールと北京の金に望みをかけて、彼はエテリの微笑みの元へ向かう決意をしました。

「私はどんなネガティブなこともこの移籍から感じませんよ。これから試合に"私たちの日本人"が出ることになるんです。」と、インナ・ゲルマノヴナ・ゴンチャレンコは私たちの会話を締めくくり、トマトに水やりに行きました。


наш японец:私たちの日本人

って。昌磨くんがロシアさんちの子にされてしまう…!

移籍が決まった訳じゃないですけど、外国人選手をこんな風に思ってくれるなんてなんだか嬉しいですね (*'▽')

題名見て「セプークー」?ってなんだ?と思ってググったら「ハラキリ」が一番上に出て来て笑えました。そういうことか!

ザギちゃんを見てて人にぶつかるネイサンもネイサンらしくて笑ってしまった。