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最高の冬のプログラムを思い出しましょう

matchtv.ru


ヤグディンの≪Winter≫からメドベージェワの≪January Stars≫まで。フィギュアスケートの最高の冬のプログラムを思い出しましょう

アナスタシア・パーニナ

新年の気分のために準備されたテキスト

 

新年までのカウントダウンが始まる12月の最初の日、≪Match TV≫は、冬がテーマの最も奮い立たせるフィギュアスケートのプログラムについてお話します。ヤグディンからメドベージェワまで。太陽の下の雪のようにきらめくコスチューム、偉大なクラッシック音楽、そしてそれだけではなく強力なエネルギーチャージ。

アレクセイ・ヤグディン ≪Winter≫

ブランドプログラム、歴史的プログラム、伝説のプログラム。どれほどのフィギュアスケートファンがこのプログラムを常に自分の一番のお気に入りと呼んでいるのか正確な統計を知ることが不可能なのは残念です。ヤグディンの≪Winter≫は2002年にセンセーションを巻き起こしました。誰も全くそんなプログラムを滑ったことがなかったからですが、大事なのは、このプログラムがアレクセイ・ヤグディンのオリンピックの金メダル獲得を助けたということです。

ヤグディンのコーチ、タチアナ・タラソワは、振付師として、当時まだ26歳だったニコライ・モロゾフを招きました。彼は本来≪Wintersun≫と呼ばれていた曲を見つけました。オーストラリアのストリング・カルテット、Bondが演奏しており、CDがモロゾフの手に渡ったのは偶然でした。ミュージックストアの店員のアドバイスです。そしてヤグディン自身も彼のコーチもすぐにニコライに勧められた曲に惚れ込みました。実際は、プログラム作成中に、≪Wintersun≫は単に≪Winter≫に変わりました。衣装は象徴的に選ばれました。つなぎ衣装の上半身の模様は、雪で覆われた黒檀の木の枝の様子を再現しています。

もちろんクリーンな演技がなければどんなに天才的な振り付けでも、アレクセイが一位になることを助けられなかったでしょう。しかし、ソルトレイクシティに全てのスターが集まりました。そして、ミスのないジャンプ(当時珍しかった4回転トウループを含む)、氷から集めた雪のトリック、そして後に≪ヤグディンステップ≫と呼ばれるあのトウステップの後、アメリカの観客は、熱狂的な高まりで自分たちの席から立ち上がりました。まだフリープログラムが残っていましたが、アレクセイは、ジャッジを納得させ、彼らにまだショートプログラムだということを証明したように思われました。

アリョーナ・カニシェワ ≪冬の日の幻想≫

スヴェトラーナ・パノワコーチのグループの女子たちは、いつもそれぞれの振り付けが特徴的です。パノワと振付師のイローナ・プロタセーニャの最も成功した作品の一つは、アリョーナ・カニシェワ(彼女は当時パノワのもとでトレーニングしていました)が、昨シーズンのジュニアグランプリファイナルで銅メダルを獲得した≪スネグーラチカ(雪姫)≫になりました。

そもそも≪スネグーラチカ≫という名前は、カニシェワのプログラムをとても気に入ったファンたちの自由な解釈です。実際は、リムスキー=コルサコフのオペラ≪スネグーラチカ≫とは何の関係もなく、チャイコフスキーの最初の交響曲≪冬の日の幻想≫で演じられました。

デザイナー、オリガ・リャベンコ作成の衣装は、フィギュアスケート用ではなく、まるで舞台用に縫われたもののようです。細部はそれほど本格的なものです。下の層は凍てつく空色のレースでできたドレスです。上の層は雪のように白いプリーツスカートと胴が対比的な細いベルトで分けられています。ビーズと真珠で刺繍されたネックレスと真珠の銀のティアラが、ロシアの民族衣装のように、短い袖の外観を引き立てます。

しかし、たとえとても美しくても重要なのはドレスではなく、プログラムの振り付けでバレエ≪冬の日の幻想≫を参照していることと、アリョーナ自身のジェスチャーと表情による作品のとても正確な解釈です。弱冠13歳で、既にスポーツを芸術に変えるほどの能力があります。

宇野昌磨 ≪冬≫

宇野昌磨は、自分のキャリアで最も大事な瞬間のひとつ、オリンピックがある2017-2018シーズンに、アントニオ・ヴィヴァルディの作品≪四季≫より≪冬≫のプログラムを演じました。このプログラムの振り付けには、ヤグディンのような雪を集めたりトウを使ったりといった特別な志向はありませんでした。これはスケートだけで作られました。つまり、曲とステップが主であり、身体はステップを反響させ、手は曲のアクセントを表現しています。最初は弦のソロで高まる緊張、そしてプログラムで一番難しい要素の4回転フリップ。最後はヴィヴァルディの最もポピュラーな曲の一部分、ヴァイオリンが奏でるシンフォニーの終結とスピンです。

ところで、ヴィヴァルディは≪四季≫の4つの協奏曲に、音楽的イメージを説明しているソネットを付けています。冬のソネットには次のような文があります。

一面の雪は、まるで監禁から逃げ出したかのように目まぐるしく渦巻く。戦場で出会う風たちは荒れ狂い、お互いに戦闘に突入する準備ができている。冬は厳しいが、一瞬の喜びは時折その厳しい顔を和らげる。(V.ラベイの訳)

宇野には多くの素晴らしいプログラムがありますが、≪冬≫は特別なものになりました。

エフゲニア・メドベージェワ ≪January Stars≫

このフリープログラムは、オリンピック用に作られたものでしたが、そうはなりませんでした。最初の試合の後に≪アンナ・カレーニナ≫に変更されました。おそらくエフゲニアは曲を感じられなかったのでしょう。おそらくエテリ・トゥトベリーゼは、光がにぶい≪一月の星≫は、氷に出る前に既に、≪赤いバレリーナ≫アリーナ・ザギトワに負けていると考え、自分の生徒たちの演技が観客やジャッジに与える印象のバランスを取ろうとしたのでしょう。

ロシアフィギュアスケート連盟のサイトのインタビューで、メドベージェワは自分の思い切った行動について次のようにコメントしました。

私はオリンピックシーズンのプログラムには、強い音楽と、同胞だけではなく、残りの全ての人に翻訳なしで理解してもらえる良く知られたイメージを選んだ方が良い気がします。アンナ・カレーニナはこれに当たります。

このプログラムでは、アカデミー賞の作曲賞としてノミネートされた映画の曲が鳴り響いています。これはとても強く、大きな感銘を与える曲で、心に染み渡ります。何についてプログラムで滑るのか、どんな物語を氷上で語るのかを理解することが私にとってとても大事でした。≪カレーニナ≫のテーマは、彼女の愛と苦労の物語で、私は人間的に理解しています。

この決断が正しかったのかどうか、語るのは難しいです。ひょっとすると、澄んだ≪一月の星≫は控えめで穏やでありながら、真に豪華な衣装は、エフゲニア・メドベージェワがアリーナと対照的に演じ、金メダルまで届かなかった彼女の点数を増やすのを助けたかもしれません。音楽性やプレゼンテーションの観点から、≪星≫についての疑問は、ブラチスラヴァの最初の試合で既になかったからです。

今シーズンのグランプリシリーズカナダ大会のエキシビションで、エフゲニアは同じ衣装で氷に出ましたが、別のボーカル曲で滑りました。

ナタリア・ザビアコ-アレクサンドル・エンベルト、エカテリーナ・リャザーノワ-イリヤ・トカチェンコ ≪吹雪≫

この曲はソヴィエトの古典に分類されます。ゲオルギー・スヴィリードフは、70年代半ば、プーシキンの同名小説の映画のために、オーケストラ組曲≪吹雪≫を書きました。そのため、フィギュアスケートでプログラムにスヴィリードフの曲を使う者は皆、何らかの形で原典に基づいています。

プロットによると、地方の娘、マリヤ・ガヴリーロヴナは、貧しくて親が賛成してくれるなんて考えられない人に恋をしました。彼女は自分の愛する人と家出し、彼と結婚したがりますが、最も重要な晩に、猛吹雪が全ての計画を台無しにします。最愛の人は教会への道を見つけることができず、マリヤはそこで彼を待ちますが、結局は、同じように吹雪が教会に間違って連れて来た見知らぬ軍人と結婚します。このように、冬の猛威は永久に3人の人間の運命を変えました。

フィギュアスケートでは、組曲の2つの部分、ワルツとロマンスがプログラムに最もよく使われます。

最初にお話しするのは、エカテリーナ・リャザーノワとイリヤ・トカチェンコ、そして彼らの動きが早く軽いワルツです。そのシーズン、ワルツは課題ダンスだったため、振り付けはまず第一にパターン、必須のステップを見せることを目標としています。このおかげでダンスに本物のダンスパーティーの雰囲気があります。

後に彼らはスヴィリードフの作品の別の部分でフリーダンス≪吹雪≫を演じました。

最も記憶に残る、二人にとても似合った衣装のプログラムの一つで、ナタリア・ザビアコとアレクサンドル・エンベルトもこの曲を使いました。アレクサンドルの白い軍服とナタリアの白いドレスはイメージにぴったりです。

川口悠子-アレクサンドル・スミルノフ ≪フェブラリー≫

サンクトペテルブルクのペアが現代のサンクトペテルブルクの作曲家、レオニード・レヴァシュケヴィッチの曲で滑るのには、何か象徴的なものがありました。ちなみに、まさにタマラ・ニコラエヴナ・モスクビナコーチが自分の生徒のために選曲してくれたおかげで、レヴァシュケヴィッチの≪フェブラリー≫は世界的に有名になりました。

今シーズン、同じようにサンクトペテルブルクのスタニスラワ・コンスタンチノワがこの曲を自分のために選んでいます。

≪フェブラリー≫は独立した作品ですが、やはりシリーズ≪四季≫を完結させています。作曲家は次のように評しています。

これはただの季節の移り変わりの観察的な映像ではなく、起源、誕生から衰えた最後の和音までの時の流れの他ならぬ本質の解釈です。二月の間際に、新しい段階、新しい人生が始まります。

ある時、レヴァシュケヴィッチはタマラ・ニコラエヴナと生徒たちをコンサートに招待しました。悠子とアレクサンドルをホールに迎え、≪フェブラリー≫が流れた時、パートナーは泣きだしました。

この作品が演奏された時、悠子の目の涙に気が付きました。この曲が彼女をそれほど感動させ、彼女はそれを感じたんです。と、モスクビナは言いました。

アレクサンドラ・ボイコワ-ドミトリー・コズロフスキー ≪くるみ割り人形≫

チャイコフスキーのバレエよりも祝賀向きの音楽を思い浮かべるのは難しいです。12月と1月は劇場に≪くるみ割り人形≫を見に行くことを代々の伝統としている家族もいます。

アレクサンドラとドミトリーはバレエのクライマックスのコーダ、≪アポテオーズ≫で作られたフリープログラムをジュニア最後の年とシニア最初の年の2シーズン滑りました。そして2年目の終わりになってやっとチャイコフスキーが求めているように滑りこなせるようになりました。ゆったりと、極端に、そして荘厳に。このプログラムは≪天井がない≫プログラムとして考えられました。選手たちはこのプログラムで成長し、進歩を見せることができました。これは振付師の高いプロ意識を示しています。

 

冬がテーマの曲で、作曲家たちは、メロディーとハーモニーとリズムによって寒い季節そのものの芸術的なイメージを具現化しています。低い凍えた音は吹雪の風の高まりを思い出させ、家を温める炎の音は温かく開放的です。バイオリンのパッセージでは夏へのノスタルジアが感じられます。オーケストラの管楽器(オーボエなど)は柔らかく降る雪でさえ表現でき、ベルは霜に変わる雪解けの澄んだ音を表現できます。冬には、他の季節と同様に、叙情的なテーマが広く浸透しています。熱い暖炉の側でとても寒い夜ではないかのようにさらに物思いにふけります。

一言で言えば、冬の音楽にはそれだけ多くのイメージがあり、これを扱おうとしている全ての振付師はスケーターに勧めたいものを見つけられるでしょう。おそらく私たちがこんなにも冬のプログラムが好きなのは、そこにいつもドラマがあり、決してほとんどが悲劇というわけではないからでしょう。物事のおなじみの動きは、冬がどんなに厳しくても、とにかく春になるということを私たちに忘れさせません。


手を付けてしまったけど結構長かった…!

変なところは教えてください<(_ _)>

 

アーモンドピーク、「冬」が一つも出ません。最初から箱買いするべきだったか…🙄

トゥーラン昌磨くんはいっぱい集まってきました。