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ミーシン先生の本より、プルのこと1

ミーシン先生の本からちょっとだけのつづきです。

 

ミーシン先生の本「スケートリンクが語らないこと」の「Чистый Гиннесс(クリーンなギネス)」の章の最初です。


 私の最も成功した生徒の姿を完全に明らかにするために、私は読者のみなさんに、アーティスト、アスリート、人間、そして男という、プルシェンコの4つの人格についてお話ししたいと思います。

 

アーティスト

 もちろん、エフゲニー・プルシェンコの名前に言及するときに、まず頭に浮かぶのは、彼の記録的な数のメダルと休養後の勝利の帰還です。しかし私にとってジェーニナ(ジェーニャ)のユニークさは少し別のところにあります。私はかつて彼をフィギュアスケートのシェイクスピアと名付けました。なぜならば、シェイクスピアはペンを手に持ち、善良な感情と同様にあまり良くない感情も、ありとあらゆる人間の感情を自分の作品の中に完全に反映した数少ない人々の中のひとりだったからです。それは愛であり、腹黒さであり、ねたみであり、自己犠牲であり、裏切りです。ジョークですが、この点では、ジェーニャ・プルシェンコも私に何かウィリアムを思い出させます…。

 多くの優秀な選手がいますが、彼らの役柄はいずれにしろある範囲内で変化します。ステファン・ランビエール、カート・ブラウニング、彼らは私にとって言うまでもなくスケートの天才です。しかし、私の記憶では、次のようなプログラムを氷上でこれほど見事に体現できたスケーターはいません。アルビノーニの≪アダージョ≫と≪ギャングのサンクトペテルブルク(サンクトペテルブルク300)≫、サン=サーンスの≪瀕死の白鳥≫と≪Sex Bomb≫、≪ロクサーヌのタンゴ≫と≪ゴッドファーザー≫、ヴァーツラフ・ニジンスキーをイメージしたダンスとヴャチェスラフ・ポルニンのユニークな贈り物に触発された≪アシサイ≫のモチーフ。このプログラムでプルシェンコは衣装を変化させ、同時に男役と女役を演じました。私の記憶では、こんなに幅の広いイメージを見せてくれたスケーターは一人もいません。


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