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ミーシン先生の本より、トリノ - 計画された勝利1

プルのこと3のつづきです。


トリノ。計画された勝利

 多くのファンや一部の専門家は、トリノオリンピックがゴールポイントとなったオリンピックサイクルは、結果から見てジェーニャと私にとって最も穏やかで予測できるものだったと考えています。主なライバルが高いレベルで出場し続けることができず、プルシェンコは≪丘の皇帝≫として残り、オリンピックで他の選手に約30点の差をつけて証明しました。しかし、このような状況は外部の観察者の見解に過ぎませんでした。実際、敗北の後に新たにオリンピック金メダルへの道を歩み始めるということは、4年間是が非でも勝ち続けなければならないということで、これは簡単な事ではありません。

 周知のように、ソルトレイクシティーでのフィギュアの試合はきわめてスキャンダル色が強いものでした。特にペアで多くの西のメディアと専門家たちが、エレーナ・ベレズナヤとアントン・シハルリドゼの勝利は不当だと考え、彼らのカナダのライバルに二組目の金メダルを与えるという前代未聞の決定が下されました。女子の試合のジャッジの判断にも議論の余地がありました。イリーナ・スルツカヤに出された一般的な数字の並びからはみ出た2つの芸術点5.6は、彼女を2位にしました。結局のところ、これらすべては、2年未満という記録的に短い期間で行われたジャッジシステムの根本的な変更につながりました。

 実は国際スケート連盟は非常に多くの国をまとめています。そしてその活動には多くの人々が巻き込まれています。選手、コーチ、振付師、ジャッジ、指導部、報道機関、ファン。時々、当時のISU指導部は、過度の保守主義のためジャーナリストたちからひどい目に遭わされましたが、私の見解では、この保守主義はどちらかといえば好意の持てる性質でした。ソルトレイクシティオリンピックの後、プログラムと試合のルールのあれこれの変更の必要性について、時には全く正反対の多くの要望が出ました。しかし、純粋であまり意図がない人を含む何十万もの人々を乗せたノアの箱舟を激しく揺り動かすことは、議論の余地がある決定だったでしょう。


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