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クズネツォフさんのスケート靴の話1

色々なスケーターの名前が出てきて面白いです。長いので分けます。

russian.rt.com


≪苦しむことがプロセスの一部だと考えている人たちもいます≫ ISUのテクニカルスペシャリスト、メドヴェージェワのスケート靴の破損とスルツカヤとの協力について

エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

フィギュアスケートの靴とブレードはいつも壊れている、コーチ兼テクニカルスペシャリストであるアレクサンドル・クズネツォフはこう言っています。彼は12年間、7度のヨーロッパチャンピオンで2度の世界選手権チャンピオンであるイリーナ・スルツカヤのスケート靴を個人的に担当していました。彼はRTのインタビューで、エフゲニア・メドヴェージェワが壊れた靴で危険を冒し、ロシア選手権を終える必要がなかった理由を話し、3度の世界チャンピオン、浅田真央にどんな風にアドバイスしたのかについての話を思い出し、プロのスポーツ靴に関して言うなら、なぜより最高なことが良い物の敵であるのかを説明しました。

長年の間アレクサンドル・クズネツォフの仕事部屋になっている≪ソコリニキ≫のリンクにある研磨機が置いてある小さな小部屋は、あらゆるスポーツ博物館にハンディを付けています。サーシャ・コーエン、イリーナ・スルツカヤ、ナタリア・リニチュクの使い古した靴が壁や床にごちゃごちゃにあり、ドアの側柱にはピンで留められた紙のハートがあり、そこにはロシア語の感謝の言葉が浅田真央の手で丹念に書かれています。ドアの取っ手の代わりに、ブレードが木製の扉の片方に縛り付けられています。機械の真上の壁には珍しい品があります。細長いカタツムリの殻みたいに激しく曲げられ、時間とフィギュアスケートの苦境で黒ずんだ、前の前の世紀のイギリスのスケート靴です。

真央ちゃんのメッセージ

≪変わったことは何も起こっていない≫

- あなたの作業台の上にある壊れたブレードの量から判断すると、これはまれに起こる問題というわけではなさそうですね? 

- 残念なことに。これは普通同じ原因で起こります。スケート靴の構造上耐えられません。理論的には靴底部分は、何らかの方法で変形するのを防ぐため、とても硬い面である必要があります。しかし、構造がそれほど頑丈ではないのに、あなたが身長2メートルで体重90キロのペア選手、アンドレイ・チュヴィラエフになり、ジャンプで歯に着氷し、スケート靴全体で滑りまわることを想像してみてください。ブレードのカーブにかかる負荷はこの場合信じられないくらい大きいです。それで折れようとしています。アイスダンスではこの問題はそれほど切実ではありません。ずっと負荷が少ないですし、(アイスダンスの)スケーターはより短いブレードを使用していますから。

- より複雑なステップを踏むからですか?

- それだけではありません。アイスダンスではパートナー同士がお互いにとても近くにいる必要があります。それに細かい動きが多くあります。これには全て高い機動性が必要になるため、ブレードが靴の長さからはみ出さないことが非常に重要です。そしてそれ自体は安全のための役割を果たしているということになります。シングルでは、その人がどう成長するか、どう足が大きくなるかにより、そして中心とかかとの支えの距離に応じて、ブレードはより長くなります。そのため、常にフィッティングをしなければなりません。

- フィギュアスケートで靴の長さとブレードの長さの選択は、一般的に解決するのが難しい問題ですか?

- はい。靴は伝統的にメートル単位で製造されていますが、ブレードはインチ単位ですから。これらは全て1696年に設立された会社≪ジョンウィルソン≫があるイギリスから始まりました。初めこの会社は刀剣類や、何か切ったり刺したりする道具を製造していましたが、最終的にはもっぱらブレードを専門に扱うようになりました。1841年に、会社がイギリスのヴィクトリア女王と夫のアルバート王子にブレードを贈った後、彼らの間でスケートがポピュラーになりました。ところであなたが手に持っているそれらの壊れたブレードには持ち主の名前があります。ドミトリー・アリエフです。壊れたのはグランプリファイナルの直前でした。

- 今シーズン、靴が壊れるスケーターたちが大量に出始めた時、あなたは専門家としてすぐに何が起こっているのかわかりましたか? 

- もちろん。逆説的に言うと、変わったことは何も起こっていないということです。ただここ数年で、報道機関は虫眼鏡で詳しく見るかのようにフィギュアスケートにあまりにも注意深く注目するようになりました。アレクサンドラ・トゥルソワがこれを跳んだ。アンナ・シェルバコワがあれを跳んだ。アイスダンサーたちが公開演技をした。ペアスケーターたちがウォームアップでミスをした…。それに加えて、衣装、ヘアスタイル。これ以上何が書けますか?ああ!靴が壊れた!

- いつもこうだったとおっしゃりたいんでしょうか?

- もちろん。カナダ人のケヴィン・レイノルズは、いつだったかシーズン中に9回靴を交換したそうです。カナダ人たちが私に話してくれました。私の経験では、シニアスケーターが7月から11月の間に3回、同じ会社の靴に交換したということがありました。グランプリシリーズ、モスクワ大会の前に、その選手は3足目の靴が壊れ、シーズン当初には考えていなかった会社の靴に変えました。彼は私に以前使っていたものより新しい靴の方がずっと好きだと言いました。

- 羽生結弦の靴に問題があったという話を聞いたことがないのですが。

- 彼には個人的な職人がいます。日本人が他のスケーターより用具の問題が少ないというわけではなく、ただ公表されていないのだと思います。私は時々髙橋大輔や小塚崇彦の靴を修理するのを手伝っていましたけれども。靴は一般的に頻繁に飛ぶように消えます。ブレードが正しく付けられていなかったり、工場で何らかの欠陥があったり、過度の負荷で。私自身スケーターでしたし、コーチであり、スケート靴の研削と取り付けの専門家として、靴用具は極めて不完全だと言うことができます。ところで、ホッケーの靴は違っています。スポーツ店に行く度によだれが出ます。膨大な数のモデル、新しい素材があります。プラスチック、複合材、グラスファイバー。ショートトラック選手やアルペンスキーヤーたちもとても多くの靴を使っています。彼らは型を作り、3Dモデルを作成し、足にぴったりの靴を作ります。

- それならなぜこれはフィギュアスケートでは行われていないのですか?

- そういった製造をしている小さな会社もあります。しかし彼らはかなり保守的です。いくつかの会社は既に何らかの革新的な提案を準備していると確信していますが。

- この問題を最初に解決し、製品を市場に投入する会社は数十億稼ぐでしょうか?

- 実際はこの問題が根本的に解決されることはおそらくないでしょう。なぜなら様々な足があり、色々なスケーティングスタイルがあるからです。≪学校の≫フィギュア用靴を覚えていますか?スケーターが全ての自分の小さな動きを望むように制御できるように、それらは最大限に柔らかく、≪ボロ≫でなければいけませんでした。そもそもフィギュアスケート用の靴は、多数のホックがあるロングブーツでした。その後、靴はどんどん短くなり、最終的にはほとんどスニーカーくらいになりました。靴のベロにも全く異なる役目があります。以前はそれは装飾みたいなとても薄いものでした。今は靴の上部の3分の1を構成しています。

- スケーターたちは、いくつかのモデルでこのようなベロは足の甲のひどい炎症の根本的原因になると不平を言っています。

- 内部の破損した場所で、靴は足首の関節を強く圧迫し始めます。そのため、甲の前面には炎症だけではなく、大きな腫れやこぶもできます。これはとてつもなく痛いです。パラドックスです。フィギュアスケーターのための靴を製造している会社は、常に何かより最高の物を考え出そうとしていますが、実際は、より最高なことが良い物の敵になってしまっています。そのため考えるスケーターたちは、必要な時に以前のシリーズから具体的に注文できるように、どのモデルで一番快適に滑ることができたのかをいつもチェックしています。

"例えば、今までステファン・ランビエール用に毎年2003/2004年シーズンのモデルが3、4足作られていますし、セリョージャ・ヴォロノフは10年前に滑っていた靴を使っていることを知っています。多くのスケーターたちが、現在スケーターたちに提供されているものより、かつて使った用具の方がずっと良いと実際に考えています。"

- ロシアでフィギュアスケート用具を扱っている多くの店が、メーカーから規格外れの靴を安値で買い付けることからビジネスを始めたと聞きました。1足いくらでさえなく重さで…。

- 喜んで信じてもいいですが、私にはそれが事実だと断言する根拠が何もありません。

- 靴を手に取って、それが規格外れだとわかることがありますか?

- はい。そういう場合、すぐにクライアントに説明しようとします。お子さんが正しく教えられていると確信したいなら、しかるべき品質の用具を持つ必要があります。そのため、私がそれに最初の穴を開ける前に、靴を変更しに行くようにしつこくお勧めしています。店で靴を売っている人たちがたまに私の姓を聞いているかもしれませんが、彼らがすっかり感心してそれを扱うとは思いません。しかし彼らの仕事は商品を売り、どこかへそれをやることで、モスクワでそれができないなら、靴はヴォルクタ、チェリャビンスク、ムーロムなどに持っていかれます。しかし私の仕事は、子どもたちと大人たちに正常な用具で滑ってもらうことです。


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