ただのフィギュアスケートファンのロシア語翻訳

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ナム君のインタビュー:今、地球上で唯一リンクで練習できている人は?

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≪クレイジーです≫:グエン - カナダでの隔離とメドベージェワとの友情について

≪最悪の経験≫:COVID-19とメドベージェワのファンたちとの事件についてのグエンのインタビュー

エリヴィラ・オンダル

カナダのスケーター、ナム・グエンは≪ガゼータ・ルー≫のインタビューで、彼の国で隔離に違反した人たちが8,000ドルの罰金を取られていることを話し、モントリオールでの世界選手権を完全に中止する必要がある理由を説明し、パンデミックの今、リンクで練習を続けている地球上で唯一のスケーターの名前を挙げ、エフゲニア・メドベージェワのファンだと自称する≪クレイジーな人たち≫からの嫌がらせについても明らかにしました。

- カナダではもう長い間隔離が続いていますね。君は元気?

- 元気、元気ですよ!でも、やはり少し退屈になってきました。この状況はそれほど簡単に解決できることではありません。僕たちは2カ月隔離状態です。今後何も期待できない時にずっと家にいるのは本当に大変です。

僕は特別なことは何もしていません。自分の体型維持のために少しトレーニングしていますが、基本的にはリラックスして、積極的に友達と連絡を取り、ゲームをいっぱいやって、家族と一緒にトロントに住んでいるので…家の手伝いをしています。

- ご両親は仕事に行かなければならないの?

- いいえ、とてもありがたいことに、両親は家から仕事しています。

父と母は病院で働いていますが、医者ではありません。プログラミングをしているので、自分の仕事をリモートですることができます。彼らは今すごくよく働いていて、コロナウイルスとの戦いに貢献しています。

すぐに全てが終わることを願っています。

- カナダの自主隔離体制はどれくらい長く続くと思う?

- 自分のリンクについて聞いた最新のニュースは、5月31日に再開するかもしれないというものです。つまり、僕たちには少なくともあと1カ月半は休みがあります。でも、その日にリンクは再開されず、隔離が延長される可能性が高いでしょう。みんな今は少し混乱しています。何が起こるかわかりません。

- カナダの隔離のルールはどれくらい厳しい?

- (笑)。もちろん僕たちは完全に家にいるわけではありません。本当に必要なものを買うためにお店に行く必要がある時は、誰とも密接に関わらないなら行っても大丈夫ですが、たとえば、5人以上で集まることができる所はどこにもありません。

- 長くカナダに住んでいるロシアのボクサー、アルトゥール・ベテルビエフは、モントリオールから出ようとしたが、警察に止められ、自分の街を出ることは禁止のため、1,000ドルの罰金を取られたと言っていました。

- 1,000ドルの罰金は本当にクレイジーです。でも警察は全ての住人が健康でいられるように、自分の仕事をしようと頑張っています。ちなみに、最近トロントで、ある家族が一緒に家を離れたため、8,000ドルの罰金を取られたという記事を読みました。

今は多くの人たちが、このような状況の中で正しく行動する方法を理解しようとしつつ、憤慨しています。警察が誰にでも罰金を科すことができるかのように考える人もいて、カナダの首相、ジャスティン・トルドーは批判されています。

- カナダ社会の雰囲気は今はあまり良くない?

- 個人的には人々の振る舞いに少しがっかりしています。自主隔離ルールを全て厳守している人もいますが、何も起こらなかったかのように生活している人もいます。それで僕はがっかりしています。そういう人たちのことを心配しています。彼らは病気になったり他の人にうつすかもしれません。

僕たちみんながもう自分のパソコンで疲れてしまっていることはわかっていますが、その代わりに、これは親しい人たちと過ごせる絶好の機会です。僕に関しては、全体的に家で快適です。

- ロシアでは会社が休業したため、無給の休暇を取らなければならなくなった人たちもいます。カナダでは経済状況はどうなってる?

- 職を失ったり、部分的に忙しかったけれど、今その収入がない場合は、申請して国から月に2,000ドルの援助を受けることができます。

たとえば、僕はフィギュアスケートのコーチの仕事をしたり、自営業をしたりしていましたが、今は全くお金をもらっていません。この状況で2,000ドルはもちろんとても助かりますが、僕は収入に関してあまり心配はできません。両親が働き続けていますから。でも他の人たちは苦しくなっています。

- 君はもうコーチとして働いているの?

- はい。とても多くトレーニングしているわけではありませんが。自分自身の練習の後の調子によります。

去年はとても多くトレーニングしましたが、シーズンの終わりに、過度に背負い込まないようにレッスンの数を減らすことにしました。そのため、以前もらっていたほど多くは稼がなくなりましたが、その代わりに試合に出て賞金をもらうモチベーションが上がりました。

でも、僕はトレーニングをしたり、自分の経験をみんなに教えたりするのが間違いなく好きなんです…。13歳~14歳のティーンエイジャーや、4歳の子供たちもいて、彼らには大きな可能性を感じます。トレーニングプロセスの反対側にいて子供たちを育てるのを助ける。これはとても特別な気持ちです。彼らにスケーティング、ジャンプ、プログラムのプレゼンテーションを教え、リンクの外でも多くのレッスンをしています。

- 隔離中、自分のトレーニングはどうしてる?

- 基本的には身体のコンディションを維持するための体力トレーニングをしています。ジャンプやスピンの感覚を体が忘れないように少しジャンプもしています。一番大事なのはある程度体型を維持することだと思います。

休みの後に最初に氷に出た時、全部新たに覚えなければならないんじゃないかと心配しています。また氷の上で快適に感じるために、戦うための身体的精神的状態を戻すには、絶対にかなりの時間がかかります。

でも、スケーターみんなが同じボートに乗っています。そして、だれも僕たちを急がせることはなく、連盟が復帰を助けてくれるという安心感もあります。

- 現在、選手たちみんなが、かなりSNSを使い、オンライントレーニングやライブ放送をやっているけど、君はこの分野にはあまり積極的じゃないね。

- はい。多くのスケーターが今ブログを持っていて、自分の生活で起こっていることを投稿していますが、僕はあまりそういうことをしたくありません。今僕はそれより自分の内側にフォーカスを移しました。本をたくさん読んでいます。おまけに僕はとても怠け者なので、チャレンジするにはちょっとした努力が必要です(笑)。

- どんな本を読んでるの?

- 今はクリス・ベイリーの≪Hyper Focus≫を読んでいます。この本はなんとなく心理学みたいで、自分の脳の能力をより有効に使い、マルチタスクになり、注意散漫にならない方法を明らかにしています。今僕はいつもトレーニングしているわけではないので、より多くの情報を得て、自分の集中力を高めようとしています。

もし僕がブログを始めるなら、良質になるという確信がないといけません。でもそんなクールで面白い素材が僕には今の所ありません。

友達を楽しませるために、もう一人のカナダのスケーター、キーガン・メッシングと一緒に動画を撮るかもしれませんけど。誰かの質問にちょっと答えて、少しみんなと友情を分かち合うかも。楽しいと思いますよ。

- メッシングは庭に自分のリンクを持っているみたいね?

- はい。彼はリンクを自分で作ったんです!数年前彼は僕にどうやって作っているのか見せてくれました。裏庭にリンクがあるなんてとても素晴らしいですが、これはキーガンにいつも期待できることです。

彼はとてもまめな奴で、今は自分で車か何かそんなものを設計しているところです。キーガンはすごい奴で、今、明らかに氷に乗る時間のロスに悩まされていないでしょう。彼は今リンクで練習できる唯一のスケーターだと思います(笑)。

- 2020年の世界選手権はモントリオールで開催されるはずでした。中止のニュースをどう思った?

- カナダ代表みんながこれを受け入れるのは辛かったです。僕たちはまだ心残りがあります。自国開催の世界選手権に出場できる機会なんてそう多くはありませんから。

もちろんグランプリシリーズのスケートカナダはありますし、これはとても素晴らしいことですが、世界選手権はレベルが違います。僕たちは期待に胸を膨らませて出場するのを待っていましたし、自国の観客の前で燃え上がるような演技をしたかったです。カナダ代表のみんながこの試合に向けてとても熱心に準備していたことを知っています。

- 2020年の10月から12月までの間に試合を延期できないかという話がまだ続いていますね。(中止が決まったようですが)

- それはないと思います。そんなことをしたら、全てがややこしくなり、来シーズンのスケジュールをめちゃくちゃにしてしまいます。全体的に多くのことに影響があります。

個人的には世界選手権はきっぱり中止として、2020/21シーズンだけに集中したいです。全てのスケーターにとって、元の良い状態に戻るのはとても長い時間がかかる大変なことだということを考慮に入れないといけません。

世界選手権を10月や11月に開催しようとするよりも、こっちに時間を使った方が良い…。意味があるとは思えません。コーチと僕は今の所新プログラムには何も手を付けていません。音楽のアイデアについての話を少ししただけです。せめていつシーズンが始まるのかだけでもわかったら、真面目に計画を立て始めるつもりです。

- このオフシーズンの間に何をしておきたい?

- 4回転トウループをプログラムに戻さないと。これは絶対に。でも、他にももっとたくさんやらなきゃいけないことがあります。たとえば、スケーティングを磨いたり。全体的にプログラムのプレゼンテーションを改善したいです。

こんなに長い休みの後に氷の上に戻ることは、全てのことを白紙からやり直し、新しい癖を作る絶好のチャンスになると思います。僕の身体は既に滑り方を忘れてしまったかもしれませんが、今は自分のスケートのスタイルを新たに作って、それを改善するチャンスがあります。

- それは本当に面白いアイデアね。

- はーい。

- ところで、なんで最近、≪クリケットクラブ≫で羽生結弦と踊っている古い動画を投稿することにしたの?何か特別な話があるの?

- 正直に言うと、僕の多くのファンが、以前僕が≪クリケットクラブ≫(トロントの有名なリンクで、現在ブライアン・オーサーの指導の下で、羽生とエフゲニア・メドベージェワがトレーニングしている。 - ≪ガゼータ・ルー≫)に所属していたので、僕のことを知りました。僕はユヅルやハビ・フェルナンデスと親しかった。みんなそれを覚えています。でもそのせいで、僕自身のイメージを作るのが少し難しくなりました。

これは変な話でもあります。以前はみんなよく僕にユヅについてだけ聞いてきて、観客の皆さんに、フィギュアスケートに僕という人間がいることを知って欲しかったので、少しがっかりしていました。

でも、僕は状況を理解しています。以前は僕自身がユヅルやハビとの写真をたくさん投稿していて、僕たちはクリケットの兄弟みたいでした。世界中がその様子を知っていました。今僕は自分を向上させ、みんなに自分がスケーターとして成長していることを見せるためにたくさん練習しています。

この動画を投稿したのは単に面白かったからです。これは≪クリケット≫でのヒップホップレッスンをよく思い出させてくれ、みんなを少し楽しませたかったんです。僕はSNSで冗談を言うのが好きなんです。僕のユーモアのセンスがわからず、少しむっとする人たちもいますが(笑)。でも人生はそういうものです。僕は全ての人に気に入られることはできません。

- いつだったかツイッターで、羽生がブライアン・オーサーなしでグランプリファイナルに出場した時、もう一人の日本のスケーター、宇野昌磨も長い間コーチなしで試合に出ていて、≪試合にコーチなしで出るのがトレンド≫と、冗談を言ってたね。

- はい。そのせいで少しヘイターを捕まえちゃいました!冗談は面白いと思って、誰も傷つけるつもりはなかったんですが、ユヅの熱狂的なファンには勝手に反応する人たちもいました(笑)。≪冗談で言うことじゃない。許せない!≫と書かれました。

選手がコーチなしで試合に出ることはそれほど珍しい事ではないですし、何も特別なことではありません。ユヅはもう大人ですし、おまけにフリープログラムにはコーチが来ました。なんでそんなに僕に腹を立てているのか全然わかりません。

でも仕方がありません。さっきも言いましたけど、みんなに気に入られることはできませんから。

- クリケットの友情についての話なら、最近、このクラブのロシア人スケーター、エフゲニア・メドベージェワと親しくなったよね…

- じゃあ、SNSでずっと僕に起こっていた最悪の経験をお話しします。念のためはっきりさせておきますが、エフゲニアと僕はただの友達です。とても良い友達です。それ以上のことはありません。

そして、彼女のファンたちは本当に信じられない。僕はロシアにいたとき彼らと話し、彼らの事が好きになりました。他のスケーターも含めて絶大なサポートをくれるとても素晴らしい人たちです。

しかし、エフゲニアのファン(実際には彼女の本当のファンではなく、ただのクレイジーな人たちなんだろうと思っていますが)の一部の人たちが、SNSで僕に書いてきたことには迷惑しています。これは絶対に許せないことです。

ある人がインスタグラムで僕を侮辱し、ろくでなしと呼び始めました。エフゲニアと何かをする権利はないと言って、許しがたい個人的すぎる質問をしました…。

僕はとてもがっかりしました。もちろん、彼には答えませんでしたが、スクリーンショットを撮って、ストーリーに投稿し、みんなが全部を見ることができるようにタグを付けました。友達たちと状況をちょっと笑いましたが、それから気分が悪くなりました。僕は全くそんな人間じゃないし、とても腹が立ちました。

今、隔離が始まり、エフゲニアは日本に行きました。そして何人かの人たちは僕も彼女と日本にいると思っています!僕のことをいやらしい奴と呼んで、人種差別的な侮辱も含めてを書いてきます。でもご覧のように、僕はトロントの自宅にいます。

僕はこのばかげたことでエフゲニアを心配させないようにし、できるだけ無視するようにしています。でも調査をする人もいます。本当におかしい。

たとえば、彼らはエフゲニアの動画の背景に、僕の家にあるのと同じような手すりを見つけて、彼女が僕の所にいるという結論を出しました。でもその写真は僕の家で撮ったものではありません。こんな調査には怯えてしまいます。でも、これはエフゲニアのファンがやったんじゃなくて、ただ変な人たちがやっているんだと思います。

- そんな人たちは気にしないで、ロシアのファンは君が大好きよ。

- ふー、この状況全部のせいで、彼らは今僕をあまり良く思っていないと既に思っていました…。数日前、僕がモスクワのグランプリシリーズに行って、何人かの人たちがしていたこのでたらめな話のせいで、ロシアのみんなが僕を嫌っている夢まで見ました(笑)。

でもこれはただの夢です。僕はロシアで演技するのが大好きで、2019年の11月に、個人的に地元のファンの皆さんに会いました。彼らは本当にすばらしい!世界中の試合で僕が見た最もかわいい人たちに入ります。ミスがあったフリープログラムの時でも、彼らは僕をとても応援してくれました。僕は夢のように美しいロシアのファンのみなさんにとても感謝しています。