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ヤグディン40歳 春≪長年一緒にやってきて、彼は一度も私の期待を裏切ったことがない≫

冬≪リョーシャは何でもできるのよ!≫の続きです。タラソワさんのお話。


春。≪長年一緒にやってきて、彼は一度も私の期待を裏切ったことがない≫

- ヤグディンは極端な性格をしていますが、同時にとてもよく働きます。言われていることはたいしたことではありません。

と、タラソワは生徒について話しました。

- 怪我で引退しなければならなくなった後、彼はとても多くのことを覚えました。正直に言うと、彼があれほど全てを身に付けるとは思っていませんでした。彼のトークは素晴らしいし、実況放送も上手です。時々間違えることはありますが、それは彼が常に何か新しいことを試しているからで、この場合間違いはやむを得ません。解説で、リョーシカはとても厳しい時がありますが、私もなぜそういうことが起こるのかわかります。練習や責任ある試合への出場に関わる全てにおいて、ヤグディン自身はいつも100%信頼できました。そのため、彼は、どうしたら一年中きつい練習をして、その練習をシーズンを通して結果に結びつけることができず、自分の重要な課題をこなすことができないのか、ただわからないのです。

私はリョーシャの全てのパフォーマンスを見ていましたが、彼が氷上で全ての自分の役をどう演じているのかを見るのが大好きです。私は彼がテレビ解説の準備をしているのを見るのがとても好きなんです。彼はいつも手帳を開いて、そこにまもなく出場しなければならない選手たちそれぞれについて、何か面白いことを書き込んでいます。彼はとにかくフィギュアスケートで起こっていることについて、とても多くのことを知っていて、それぞれ都合が良い時に、みんなに全てのことについて質問し続けています。私は未だに驚いています。ヤグディンは休憩や、ソファーで横になるのが大好きなのに、彼は仕事は全く怠けません。そして彼は真に本物のアーティスト、才能の塊です…。

彼は信じられないくらい自分の子供たち、自分の家族を愛しています。完全に不自由のない生活をさせていますが、自分の日常生活は全く慎ましいです。そして決して誰のことも侮辱しません。犬が大好きで、犬たちも彼が大好きです。私たちがアメリカに住み、ソルトレイクシティオリンピックに向けて準備していた時、リョーシカのところにはコッカー・スパニエルのローリクがいました。ローリクはアメリカでとても小さな子犬の時に買いました。私はヤグディンに、2本目の4回転トウループを跳び始めたら、犬をプレゼントすると約束していたんです。犬は言葉では伝えられない程リョーシカが大好きでした。トレーニングの時はいつもリョーシカを追って更衣室に来て、着替えが終わるのを待ち、彼の荷物の上で横になり、トレーニングが終わるまでそこから動きませんでした。私がなんらかの理由で突然ヤグディンを怒鳴り始めたら、私に対してとても怒っていました。そういうことがあると、ローリクは丸二日私の相手をしてくれませんでした。彼は私がいることを知らないかのようにただ通り過ぎました。

ヤグディンと私がオリンピックに出発した時、9月のテロ(2001年9月11日のアメリカの同時多発テロ - RT)の後で、航空輸送規制が極めて厳しくなっていましたから、もちろん犬を連れて行くことはできませんでした。当時アメリカの私のところでトレーニングしていた男にローリクをあずけました。そして戻った時、ローリクは床から起き上がれなくなっていました。網戸にぶつかって四本の足全て、血が出るほどの怪我をしていました。その上、ソルトレイクシティでのリョーシカの演技中、犬は心筋梗塞を起こしたんです。

犬をあずけた男は、その後私たちに、ローリクはリョーシカのフリープログラムの音楽を聴いて、テレビに駆け寄り、ヤグディンが滑っている間中、画面の前でじっとしていて、音楽が終わった時、ローリクは意識を失って床に倒れたと話しました。私たちはそれから長い間犬を治療しました。私自身、彼をアメリカからサンクトペテルブルクのリョーシカのお母さんのところに連れて行きました。お母さんのところで、ローリクはそれから長く生き抜きましたが、この出来事の後、完全に回復することはできませんでした。

いつもヤグディンの側にいることは、もちろん普通ではありません。誰か輝かしい人物と一緒にいるようなものです。個人的に私がリョーシャを好きな理由は、まず第一に、長年一緒にやってきて、彼は一度も私の期待を裏切ったことがないということです。彼は私たちの練習を信じ、自分自身の成長への期待を裏切りませんでした。男子シングルスケートにおける彼の権威にとって、私は大したことはなかったということを、胸に手を置いて、状況によって、私に理解させることができましたけれども。

おそらく、彼からの絶大な信頼のおかげで、私は彼を失うのを恐れたことは一度もありませんでした。彼が私たちの関係をとても大切にしていることは知っていました。スポーツでの偉大さについて言うなら、私は試合に対してこれほどこの上ない情熱を持つスケーターを、彼以外に見たことがないと言うことができます。出場して勝利のために戦う。彼はいつも出場を熱望していました。そしてお金のことを言ったことは一度もありませんでした。ヤグディンはこの点で、古代ローマの闘技場に入り、命を落とす準備ができているけれど負けないグラディエーターの一人です。


つづき → 夏≪たくさん本を読む時間がないのが悩み≫