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≪サーシャはとても正しく行動している≫:アルトゥニアン、トゥルソワとチェンのトレーニングの共通点、アメリカのスケーターの育成について

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≪サーシャはとても正しく行動している≫:アルトゥニアン、トゥルソワとチェンのトレーニングの共通点、アメリカのスケーターの育成について

エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

 

ある程度安定して難しい要素を行うには、選手は試合でそれを行う経験が2、3年は必要です。このことについてRTのインタビューでラファエル・アルトゥニアンが話しました。彼は、アレクサンドラ・トゥルソワは、4回転ジャンプで自分のプログラムをできるだけ早く難しくしようとしており、正しく行動している、という意見です。2度の世界チャンピオン、ネイサン・チェンも同じ方向に向かっています。彼はスケートアメリカのシングルでの自分の生徒たちの勝利についてもコメントし、アメリカの女子スケーター育成の問題点について話しました。

- SNSや舞台裏では、ネバダで開催されたスケートアメリカについての討論が続いています。それも、結果についてではなく、組織についてです。イベントに直接参加されたあなたにはどんな印象でしたか?

- 正直なところ、私はとても驚きました。アメリカフィギュアスケート連盟が、ネバダでこんな高いレベルで試合を開催できるとは予想していませんでした。組織やセキュリティに関することで問題は起こりませんでした。試合中ずっと、私たちはいわゆる泡の中にいました。試合は1年前と同じアリーナで開催され、参加者全員に近くのホテルが割り当てられました。

- 一連の流れがかなり効率化されていたということですか?

- もちろんです。ホテルからリンクまでは、それぞれが外に出ることなく特別な廊下を通って行けました。主催者は完全に独立した空間を作り出すことができました。選手とコーチが滞在したフロアには、独立したエレベーターがあり、スタッフを含めて誰もそこにはたどり着けませんでした。つまり、外の世界の誰とも会うことなく、部屋のドアからリンクまで直接行くことができたということです。

- 食事も別のレストランで取ることができたのですか?

- 食事はリンクで取りました。それにとても良い食事でした。ラスベガスに到着する前、私はもちろん、パンデミックの状況下で、NBAのバスケの試合がどんな風に行われているのかを耳にしていましたが、フィギュアスケートの対応には危惧がありました。私は突然ベガスで食べ物を買うことができなくなった場合のことを考えて、少し食べ物を買って持って行ってさえいました。しかし、結局、持って行ったものは何も必要ありませんでした。

- モスクワの≪メガスポルト≫で行われたロシアカップ第2戦では、かなり多くの疫学的要求違反が記録されました。

- その点、ラスベガスでは全てがかなり明確に行われました。主催者たちは、とても詳しい映像でみんなにルールを解説し、必要な措置の重要性を思い出させる特別なテレビ会議を行いました。そして、みんな試合の開催が成功したことや、基本的に、何かより面倒に感じられるような厳しいコントロールを受けなかったことをとても感謝していました。大事なのは、また出場できる機会が得られたことです。

- あなたは勝利者としてラスベガスからお帰りになりましたね。ネイサン・チェンとマライア・ベルがシングルの試合で勝ちました。今シーズンのグランプリシリーズは不完全なものになりましたが、あなたにとって生徒の勝利にはどんな意味がありますか?

- 勝利にはいつも価値があります。試合がどんなレベルかは関係ありません。それに、スケートアメリカには、男子にも女子にも良いライバルたちがいました。ところで、3位に入ったオードリー・シンですが、彼女は私たちのグループで2年くらいかなり真剣にスケートをしていました。しかし、その後、コロラドスプリングスのジャンプトレーニング合宿へ行き、そこに残ることにしました。基本的に、私はこの決定を理解しています。コロラドにはオリンピック訓練センターがあり、選手が料金を支払わなくてよい優先リンクや、他にも何らかの優先権がありますし…。

- でも、選手を失ったことが残念ですか?

- 私はこういうことには哲学的に接しています。私の努力によるものも含めて、アメリカのフィギュアスケートに新しい名前が現れたら嬉しいだけです。今年、イリア・マリニンと仕事ができたのは嬉しいです。彼はターニャ・マリニナとローマ・スコルニアコフの息子です。彼はラスベガスで、ショートプログラムで2本、フリープログラムで2本の4回転ジャンプを跳びました。

時間はあります。彼が15歳で見事な4回転トウループを跳んでいるのをご覧ください。これもある程度自分の貢献だと思っていますし、イリアが正真正銘のスケーターに成長してくれたら、私はとても嬉しいです。

- 女子は4回転ジャンプについて相当早く考え始めるようになりましたね…。

- アメリカでは女子の状況は変わっていません。初めは彼女たちに誰も何の力も求めていません。彼女たちがあまりにも若いからです。彼女たちは相応しいトレーニングを受けていないだけです。そして、選手自身が高いレベルで滑りたいと気が付いた時には、もう本格的なトレーニングを始めるには遅すぎるということがよくあります。だから、私は≪彼女はたった13歳です≫というフレーズを誰かから聞いた時はいつも、≪彼女はもう13歳なのですよ≫と訂正しています。

- 生徒たちの中にネイサン・チェンがいるコーチは、基本的に女子スケートについて考えない余裕があるとは思われませんか?

- ネイサンは子供の頃から自分が既に大人だとはっきりと理解していました。10歳くらいから、トレーニングキャンプにやって来て、私のレイクアローヘッドのリンクにも来るようになり、11歳でお母さんに、≪もし僕たちがここに引っ越さなかったら、僕は何も達成できない≫と言いました。そして、彼らは本当に引っ越してきて、リンクの近くにある、とても小さなある家を借りました。そして、12歳でネイサンは私のもとで全ての3回転を跳んでいました。とても高い技術で。だから、実を言うと、私たちにとって、これら全てのジャンプを4回転にすることは、それほど大変なことではありませんでした。

- スケートアメリカではチェンにどんな課題を与えたのですか?

- 私はあらかじめカードを見せ、秘密を漏らすのが好きではないことをあなたはご存知でしょう。きっとお気付きになったと思いますが、私たちはプログラムの終わり近くにジャンプを移し始め、色々な選択肢を試しています。ショートでチェンは4回転フリップを後半に跳びました。これは私たちにとって大きな前進です。個人競技の翌日、試合の枠内でチーム戦が開催されました。ネイサンは、私なしで出場し、フリープログラムで4回転ループに挑戦しました。そしてとても上手にこなしました(基礎点10.50点のジャンプに対して13.65点をもらいました -RT)。

- 試合の枠内でチーム戦を行うというのは主催者が主導したのですか?

- はい。スケーターたちに今一度ちょっと試合をする機会を与えるためです。ネイサンにとって、これは特に良いことでした。なぜなら、本来の試合のフリープログラムでは、彼には2つの≪抜け≫があったからです。これは、回復できなかっただけだと思います。ショートプログラムとフリープログラムの間隔が、1日よりも少ないというようなスケジュールでしたから。

- 公式大会に出場する次のチャンスはいつになりそうですか?

- きっと全米選手権でしょう。それに、私たちは自分たちのリンクで定期的にテストスケートを行っています。観客なしではありますが、今度ハロウィンのお祝いをします。周辺のお祝いの小道具全てを使うことができます。観客席にスケルトンたちを座らせたり、カボチャを置いたり。最悪の場合でも、スケートアメリカでやっていたようにボール紙で観客たちを作ります。私たちはなにしろ非常にラッキーです。自分のリンクで私はネイサンに一人で滑らせてあげることができるのですから。これはとても贅沢なことです。アメリカのリンクの大部分は、お金を払っても自由に使えるようにはなりません。隣で世界チャンピオンが滑っていても、他の誰かが滑っていても、彼らは全く関心がありません。

- 現時点では、チェンは全てのライバルたちより強く見え、プログラムの技術的充実度で明確にリードしています。もう今オリンピックシーズンのジャンプ構成を決めて、何の実験もせずにその構成を滑り込み、最大限の安定性を得るのがより論理的ではありませんか? 

- チェンがみんなより強いというのは神話です。話が大きくなればなるほど、それを信じるのはより危険になります。ライバルがいないなんてことはスポーツでは起こりません。影から飛び出してくる能力がある人はいつもいます。それなのになぜ私たちが立ち止まろうとするのでしょうか?今、陰にいる人がぴったりと近付けるようにですか?正直に言いましょう。オリンピックでネイサンが誰かと互角の戦いをするというのは、私の計画には基本的にありません。だから、最大限進歩し、ずっと先に行けるように、私たちは全ての可能性と解決策を使います。そして、回転数を減らすのは決して遅いということはありません。

- 今にも試合で4回転ループを見せて、存在する全ての4回転ジャンプを跳び始めそうなアレクサンドラ・トゥルソワは、女子スケートで最も正しい戦術を選んだということになりますか?

- もちろんです。サーシャはとても正しく行動していると思います。ポケットにあるお金が多ければ多いほど、より多くのお金を自分に使えます。それに、ある程度安定して難しい要素を行うには、選手は試合でそれを行う経験が2、3年は必要だということを理解する必要があります。

オリンピックのあらゆるリスクは、障害の確率を何倍かに増やします。これは自明の理です。だから、団体戦にはいつも最も安定した選手を出場させようとしています。アメリカ人が平昌でアダム・リッポンにフリープログラムを滑らせたように。そして、彼には非常に難しいジャンプのようなものはありませんでしたが、彼はチームに十分多くのポイントをもたらしました。

- ロシアのシングルスケートで今起こっていることに注目されていますか?

- 要点だけしか知りません。自分のグループで起こっていることにずっと注意深く注目しています。


ハロウィンのお祝い楽しそうですね!

世界選手権も、もし開催できるならスケアメくらい厳重な体制でやってくれると良いですね。