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≪4回転ループと5回転トウループを跳ぶことはできる≫:アルトゥニアン、スケーターたちの理想の限界とチェンの優位性について

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≪4回転ループと5回転トウループを跳ぶことはできる≫:アルトゥニアン、スケーターたちの理想の限界とチェンの優位性について

2021年1月19日 エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

 

素晴らしいコンディションと他のスケーターたちに対する優位性は、地球上最強のシングルスケーター、ネイサン・チェンに影響を及ぼしてはなりません。このことについて、2度の世界チャンピオンのコーチであるラファエル・アルトゥニアンがRTのインタビューで話しました。チェンは先に進むべきであり、到達点で立ち止まっているべきではないというのが彼の意見です。彼はストックホルムの世界選手権中止の可能性は、彼の生徒の準備に影響を与えないと話し、なぜ男子シングルスケートがまだ難易度の限界に達していないのかを説明しました。

- あなたの生徒が最初の演技で失敗し、メダルを獲得する全てのチャンスを失った平昌オリンピックの後、あなたは4回転ルッツと4回転フリップをショートプログラムで跳ぶことは、シングルスケーターにとって自滅と紙一重だと仰いました。今回の全米選手権で、ネイサン・チェンは両方のジャンプを跳びました。しかも、フリップのコンビネーションは演技後半に跳びました。そのおかげで、彼は113.92という全く驚異的な点数を獲得しました。

- それは今回の大会での私たちの課題の一つでした。フリップとルッツを一緒に入れるのは本当に難しいのですが、私たちはオリンピックの前に既にそれに向けて準備を始めました。実を言えば、そのためネイサンは平昌でこのジャンプの組み合わせに踏み切ったのです。私のコーチとしての立場からすれば、これはもちろん間違いでした。

一方で、チェン、昔のエフゲニー・プルシェンコ、または今のサーシャ・トゥルソワのような野心的な選手たちは、いつも時代の先を行こうとし、全世界が不可能だと考えているようなことをするということを、私はよくわかっています。

また一方で、やはりオリンピックでこのような実験を行うべきではありませんでした。そして今、ネイサンと私は、これら2つのジャンプを自信を持ってプログラムに入れるのに丸三年かかったと言えます。これはもちろん私のコーチングの夢の限界ではありませんけれども。

- では限界は何ですか?

- 申し訳ないですが、お答えしません。このテーマについて、早い時期に何も話したくありません。

- あなたはジンクスを恐れるほど迷信深いのですか?

- もちろん迷信深いですよ。話にならないくらい。私には時計やホテルの部屋のドアのあらゆる数字の組み合わせに兆候が見え、しかも、数字となんらかの出来事との間には実際に結びつきがあると何度も確信たことがあります。

もし私たちの仕事について全体的に言うなら、私たちにはある戦略と戦術があります。それについて私は事細かに話したくありません。時々、私が何のために練習であれやらこれやら試すのか、いったい彼を何に向けて訓練しているのか、ネイサン自身でさえ知らない時もあります。

- つまり、あなたはやはり生徒をさらに特別な何かへ向けて訓練しているということですか?

- まず第一に、私は彼を、さらに前へ突き進むことを可能にするであろうことのために訓練しています。スポーツでは全てがとても簡単ではないですか。1位になりたい?前進しなさい!

- あなたはどんな男子シングルスケートでまだ実現されていない技術的な課題が最も実現可能だと思われますか?

- この方向で考え始めるなら、もちろん選択肢があります。例えば、同じルッツとフリップをプログラム後半に移し、最初には…

- 4回転アクセル?

- いいえ。そこにはもっと簡単な4回転ジャンプを移します。アクセルは、4回転ループや5回転トウループのように、既に完全に難しさのステップが違います。ファンタスティックに聞こえますが、私が名前を挙げた全てのジャンプは跳ぶことができます。ただ、これはとてもケガの危険性があります。

- ケガのリスクを最小限に抑えるような方法でアスリートの体を鍛えることはできますか?

- 難しい仕事です。例えば、体操競技では、完全に安全な方法で全ての用具の難しい要素を覚えることができるスポンジプールが考え出されたことを利用して、かつてとても急激な進歩がありました。フィギュアスケートでは安全性の面でまだ何もそういうものは考え出されていません。

問題は、列挙されたジャンプの中のどれかをジャンプしようとすることができないということではなく、それを失敗する、しかも激しく失敗する可能性があるということにあるのですから。選手が乗っている刃はとても薄く、つるつるの面の上に立っています。4分の1回転足りなくて足がねじ曲がり、すぐに足首と膝を痛めてしまうということが起こります。つまり、一つの不注意な動きで、選手は練習プロセスから2カ月離れることになるのです。

- 今シーズンの初めに、あなたは≪チェンがみんなより強いというのは神話≫だと仰いました。今もその時と同じようにお考えですか?

(↓その時の記事の訳はこちらです。)

figureskaterus.hatenablog.com

- 実を言うとそのことについて全く考えていません。私たちはただ自分たちがやらなければならない事をしているだけです。プログラムのあるモデルを仕上げようとしていて、色々なバリエーションを試しています。覚えていらっしゃるように、10月末のスケートアメリカで、ネイサンは個人戦とチーム戦の2回フリープログラムを演じ、それぞれ別のジャンプ構成で滑りました。

現在、私たちは5本の4回転を入れたある最適なバリエーションを作りました。そして、全米選手権では、全て上手くはいきませんでしたが、チェンと競うのはかなり難しいということが既にわかりました。彼が望み通りの必要条件にはまだ到達していないままなのは本当です。ラスベガスでの演技について話すなら、私はショートプログラムの演技には満足していますが、フリーについて同じことは言えません。

- ストックホルムの世界選手権が中止になるかもしれないということは考えていらっしゃいますか?

- ISUがこれに関してどうするのかに関係なく、私たちのトレーニングは全て3月末に最適な状態になるように考えられています。

- でも、もしISUがやはり試合を中止したら?

- それは私たちの練習の目的を全く変えません。もちろん、中止についてはできるだけ遅く知りたいと思っています。やはり、主要大会が奪われることを知りつつ、選手に十分価値ある練習を続けさせるのは精神的にとても難しいことです。トレーニングは今、それでなくても難しいです。しかし、私はネイサンのプロセスに対する態度に完全に満足しています。

彼はどこにも行かず、いつもカリフォルニアにいて、レッスンを休まず、極めて熱心に私の課題の全てをこなしています。

- チェンが自分の家から避難することになった10月の火事でさえ練習を妨げませんでしたか?

- 火事は私たちのところでは全くありふれたことです。今私の家族が住んでいるところは海の近くで湿度が高いので火事は珍しいですが、チェンが住んでいるリンクの側や、さらに内陸へ行くと、かなり頻繁に燃え上がっています。強制避難システムは、炎がハイウェイを超えて住宅地に広がった場合のための一種の予防策で、ずっと前に作られた対策です。それで、ネイサンはそういう避難の一つに巻き込まれたんです。どうしたらいいでしょう?そういう国です。その代わり、私たちのところは今20度でビーチさえ閉鎖されていませんよ。

- でもマスク着用対策を守らなければいけませんよね?

- リンクと店でだけです。そこでは全てとても厳しい措置が取られています。

- もし世界選手権が中止されたら、3月末に何か別の出場の機会を探されますか?

- もちろんです。選手たちが試合のものにできるだけ近い条件でプログラムを演じる機会が持てるように、秋以来、私たちは常に自分たちのリンクで試合を開催しています。試合で感じるアドレナリンとは全然違うことはわかっています。観客席にプラスチックの人間が座っていたラスベガスでさえ同じではありませんでした。しかし、仕方がありません。私たちが持っている機会を利用しなければなりません。


高難度構成はワクワクしますけど、4回転ジャンパーのケガは心配ですよね。

みんな気を付けて!

リンクの一部にスポンジプール作ってみるとかはやっぱり難しいのかな?🤔