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ズエワ:≪ラ・バヤデール≫、髙橋のアイスダンスデビュー、北京オリンピックについて

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≪バレエは氷上で簡単にパロディーに変わる≫:ズエワ、プログラム≪ラ・バヤデール≫、髙橋のアイスダンスデビュー、北京オリンピックについて

2021年11月19日、エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

 

有名な日本のシングルスケーターである髙橋大輔には、39歳でアイスダンスでオリンピックに出場する力がある。このことについて、コーチで振付師のマリナ・ズエワがRTのインタビューで話しました。彼女によると、元世界チャンピオンと彼のパートナーの村元哉中は、つい最近カップルを結成したにもかかわらず、既に高難度のプログラムをやり遂げる能力があるということです。彼女は日本人たちがすぐに注目を集められるようなユニークなバレエプログラムをどう振付けたのかを話し、アイスダンスに明らかなリーダーが見当たらないことを強調し、オリンピックで成功する秘密を明かしました。

 

- 何をお祝いしたら良いのかわかりません。あなたのカップルの東京でのこんなに華やかなデビューに対してか、フィギュアスケート界への復帰に対してか。一言で言うと驚かされました。

- 今、私たちの所でトレーニングしている本気のカップルは、村元 – 髙橋組だけです。もちろん、私たちみんながこのカップルに関わっています。私と私の所のバレリーナで2004年から私と仕事しているエレーナ・ソコロワ。2006年から私の所の今までのチャンピオンたちみんなと仕事していたジョニー・ジョーンズ。4年前に私たちのグループにやって来て、グループにとても本質的に溶け込んでいるイリヤ・トカチェンコ。

- その専門家たち全員が、村元哉中が日本代表でクリス・リードと出場していた時も教えていたのですか?

- はい。哉中とクリスは平昌オリンピックに出場し、15位でした。その後出場するのを辞め、キャリアの継続については基本的に何の話もありませんでした。私が哉中に何をしたいのか尋ねた時、彼女はコーチの仕事をやろうと考えていると言っていました。しかし、まだ最終的に氷から去るとは決めていませんでした。私は彼女にカリフォルニアのバレエ学校に行ってみてはどうかと薦めてみました。かつて私の所のタニス・ベルビン - ベンジャミン・アゴスト組がそこに研修に行っていたことがあります。哉中は私の言うことを聞き、適切なコースを選び、しばらくバレエ学校で学んでいました。その後、日本に戻り、ショーに出演していました。

大輔は、彼がまだシングルで全力で滑っていた時に、よく引退後アイスダンスをやってみたいと話していました。言うまでもなく、彼のキャリアのピークは、テッサ・ヴァーチュ - スコット・モイア組、メリル・デイヴィス - チャーリー・ホワイト組がトップ2になり、彼らの勝利がとても賑やかな成功をもたらしたバンクーバーオリンピックの頃でした。当時はみんな髙橋の言葉を冗談だと思っていました。しかし、哉中は、彼とショーで一緒になった時、率直にこう尋ねました。≪やってみたい?≫ - ≪やりたい…≫

- 村元から計画についてお聞きになっていましたか?

- 彼女は新しいパートナーと滑り始めたいと言っていましたが、名前は言っていませんでした。髙橋のことだとわかったのは、彼らがフロリダにやって来る直前でした。2019年の終わりに、大輔はそれ以前に約束していた通り、シングルスケーターとして最後の全日本選手権に出場しなければならず、そこで哉中と一緒に滑り始めることを発表しました。(発表自体はもう少し前でしたね。)

私はとても喜びました。私には既にシングルからアイスダンスに転向したスケーターたちとの仕事の経験がありましたし、それが可能だとわかっていました。その時最初に思ったことは、これが哉中にとって願ってもいない最高の選択だということでした。

第一に、パートナーが日本人であること。つまり、この点でオリンピックの代表になるのに何の問題もないということです。第二に、全ての日本のシングルスケーターの中で、大輔はいつも最も感情豊かで最も表現力のある選手でした。確かに、昨年の2月に髙橋がやって来て私たちのリンクに現れた時は、喜ぶのが早すぎたかなと思いました。彼は全てのシングルスケーターと同じようにとても痩せていました。難しいジャンプを跳ぶには何よりも軽さと鋭さが必要ですからこれは理解しています。

- 必要なコンディションを整えるのにどれくらいかかりましたか?

- まず、私たちは大輔をフィジカルトレーナーのライアン・ベスの所へ送りました。彼はちょうどその時フロリダで自分のフィットネスクラブを始めていました。ライアン自身、元プロアイスホッケー選手で、しかもフォワードでした。つまり、とても速いプレーヤーでした。肉体準備の観点で、私たちはとても近いことがわかりました。なぜなら、フィギュアスケーターはリンク上で同じ性質を必要とするからです。スピード、鋭さ、そしてケガの可能性を最小限に抑えること。

日本で髙橋は筋力トレーニングをしたことがありませんでしたし、初めはそれが彼に必要なのかどうかとても疑っていました。しかしその後、ジムでのトレーニングの成果が目に見えるようになり始めると、彼は気に入りました。そして彼はより熱心に取り組むようになりました。

並行して私たちはポジショニングやスケーティングに取り組んでいました。そして私は最初から私たちの名刺はフリーダンスであるべきだと考えていました。大輔と哉中がすぐに自分たちに注目を集め、彼らが競争する他の誰とも似ていないということにみんなが気付くように。

- それで≪ラ・バヤデール≫を選ばれたのですね?

- はい。村元 - 髙橋組は理想的な演者だと思いましたから。私はいつもあれこれ曲を探す時、頭の中で演者を選び始めます。この過程には何年もかかることもあります。いつだったか2015年に本田真凜のためにスプリングソナタを振り付けた経緯をお話ししたのを覚えていらっしゃいますか?私はこのプログラムをどうしても日本人に振り付けたかったのです。なぜなら、日本の春は私が今までの人生で見た中で最も美しかったからです。私が曲を見つけ、プログラムを思いついてから、演者を見つけるまでに3年かかりました。≪ラ・バヤデール≫も同じでした。曲とアイデアはありましたが、長い間演者を見つけられませんでした。髙橋と村元を見て私はそれを見つけたのです。

- バレエの動きが多くある振り付けをリンクに持ち込むと、それにより全く違う筋肉を使う練習が選手たちにとって手に負えない問題になり得るということが不安ではありませんでしたか?

- もちろん、気持ちの良い曲を選び、その曲でただ美しく滑る方が簡単です。氷上でバレエ作品を演じるのはずっと難しいことです。バレエで行われるように、振り付けをフレーズに割り当てることができないと、バレエのパロディでしかなくなってしまうかもしれません。

これは本当に大変でとても手のかかる仕事です。全てのステップ、エレメンツ間の全ての繋ぎなど、全ての動きが様々な音楽的アクセントにぴったり合っていなければなりませんから。この点で、私たちのプログラムには偶然起こる動きは一つもありません。しかし、まさにこれが印象を残すのです。

一般に、ゆっくり滑ることは誰でもできると言えます。しかし、それを速く鋭く行うことができる人はとても少ないです。これは極めて特別な才能で、自分で伸ばすのはとても難しいものです。それはあるかないかです。例えば、ネイサン・チェンはまさにそういう才能でジャンプしています。彼は足の動きがとても速い。

- なぜかオクサナ・グリシュク - エフゲニー・プラトフ組が最初にリンクに現れた時のことを思い出しました。女性パートナーは、まさにあなたが仰った性質で自分に注目を集めていました。

- その通りです。彼女は足の動きが最も速いダンサーで、実際にそれは目を引きました。しかし、繰り返しますが、これは稀な性質です。ですから私はこんなに長い間、私が思いついたステップの全てを演じる能力がある演者を待つことになりました。

- 村元 - 髙橋組が取り組むべき課題を解決できるとわかるまでにどれくらいかかりましたか?

- すぐです。彼らは初級グループから私の所へ来たわけではありませんから。大輔は世界チャンピオンで、オリンピックの表彰台に上ることができた最初の日本人シングルスケーターです。つまり、彼には歴史があるだけではなく、とても強力な技術的基礎があります。

ですから、私の課題はこの基礎をアイスダンスに適応させることだけでした。同じような技術的基礎が哉中にもありました。かつて彼女はルッツを含む全ての3回転ジャンプが跳べる本当に強いシングルスケーターでした。しかし、その後ケガをしてジャンプのことは忘れなければなりませんでした。

- 私は髙橋がダンスのステップの全てを、どれくらいクリーンで明確に踏んでいるかに注目しました。

- 彼は本当にとてもよくその重要性を理解しています。ですから、とても大きな熱意で自分にとって新しいことを学んでいます。長年アイスダンスをやっている人たちよりも、技術的な練習にずっと念入りに取り組んでいるとさえ言えますよ。

- コミュニケーションは英語で取られているのですか?

- はい。私のとても沢山の指摘は哉中が大輔に日本語に訳して伝えていますが。やはり、何年も私と練習しているので、彼女は私の説明スタイルにずっと慣れていますから。

- 髙橋はあなたのもとでトレーニングを始めた時に自分がどのレベルを目指しているのか明確にしましたか?それともそのレベルはあなたが決められるのですか?

- 私が決めることはありません。ある作品を創り出し、観客やジャッジが氷上で見ることに直接関係していると感じられるように演じるには、ずっと多くの重大な課題があると思います。プログラムが彼らを魅了し、共感してもらえるようにするために。技術的基礎は完全にこれをすることを可能にしています。東京の大会で村元/髙橋組のリズムダンスの基礎点は、ヴィクトリア・シニツィナ/ニキータ・カツァラポフより0.01点低いだけでした。フリーダンスでは彼らはニキータとヴィーカを0.25点上回っていました。ロシアのカップルは世界チャンピオンなのにですよ。

- 東京の大会はあなたの所のダンサーたちの今シーズン2つ目の試合でしたね?

- はい。今シーズンはオリンピックシーズンですし、いつもより早くシーズンインすることになりました。9月の初めに彼らは私たちのアリーナで開催された地元の大会に出場し、二つのプログラムを滑りました。かなり高い点数をもらいました。私たちはこれらの演技動画全てを日本のジャッジやテクニカルスペシャリストに送りました。彼らが批評してくれるように。そして、一カ月以上を修正とプログラムの滑り込みに当てました。村元と髙橋がワルシャワで演じた後、私たちは全日本選手権に向けて明確な目的を持って準備を始めます。この試合でまさにオリンピック選抜があります。

- 北京へ行くためにはその試合で勝たなければならないのですか?

- その通りです。ですから私たちにとってこれは最も重要な大会です。

- 大輔は今年35歳になりました。彼はきっと後4年も滑り続けたくはないですよね?

- 私が彼だったら滑り続けたいですよ。

- 肉体的余力はあるでしょうか?

- 十分あります。

今私たちがしていることは、とても大きく、実際に限りのない可能性を秘めた仕事の始まりに過ぎません。私の経験を信じてください。私は少しも誇張しようとはしていません。逆にこのカップルに対してとても大きな責任を感じています。なぜなら才能が私の手中にあり、コーチはいつも多くのことにとても責任があるからです。

テッサとスコットも同じでした。村元と髙橋の技術的基礎はもっと高いですが。

- 北京オリンピックについて話すなら、大まかではあってもアイスダンスの試合がどうなるか予想されていますか?

- そのことについては考えていませんでした。あまり多くのカップルを生で見ていませんし。動画を見ただけでは、誰が今どんなコンディションでオリンピックにどんな風にアプローチしているのかを話すのはとても難しいです。アイスダンスは演技がとても重要な種目です。スケートの速度、それぞれのカップルのエネルギー、感情が考慮に入れられます。全てテレビ画面からはわかりません。それらのニュアンスがチャンピオンを決めます。オリンピックまでまだ3カ月余りあります。この期間にずっと強くなることもできますし、逆にコンディションを崩すこともあります。

それに、アイスダンスには今、明らかなリーダーがいません。みんなお互いにレベルが拮抗しています。ですから、私はオリンピックでプログラムをどう演じたかが決め手だと思います。そこで素晴らしく演じなければなりません。どんなバックグラウンドももう考慮されないように私は思います。私は間違っているかもしれませんが、私の意見はずっとこういうものでした:氷に出て、誰もが息を吞むような演技をしなさい。そうすれば1位になります。


かなだい本当に上手くなっちゃってびっくりですよね。去年見た時は1年でこんなに上手になっちゃうとはさすがに思っていませんでした。

ズエワ先生のインタビュー読んで、今後もますます楽しみになりました😊