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ヴァシリエフス:≪ソビエトのメンタリティーで育った。それぞれの文化に尊重する価値がある≫

www.sport-express.ru


2022年2月9日

≪ソビエトのメンタリティーで育った。それぞれの文化に尊重する価値がある≫。ラトビアのスケーター - 母親によるモチベーションアップについて

ラトビアのスケーターはソビエト連邦出身者たちのモチベーションについて話した

ドミトリー・クズネツォフ

 

スイスに住んでいるのに自分のソビエトのルーツを覚えているデニス・ヴァシリエフスへのインタビューです。


22歳のデニス・ヴァシリエフスはフィギュアスケートでは珍しい人物です。ロシア語圏のダウガフピルス出身でまるでロシア人のようですが、長い間スイスに住んでいて、流暢な英語を話し、ヨーロッパの専門家たちと練習しています。彼をタフガイと呼ぶ気にはなりません。むしろ繊細な性格です。彼は4回転をほとんど跳びません。これはロシアのコーチングスクールではさらし台にさらされているのに等しいことです。しかしそれにもかかわらず、3週間前、彼はヨーロッパ選手権で歴史的な銅メダルを獲得しました。

実際、ショートプログラムの後、彼は85.30点で、オリンピックチャンピオンのマルク・コンドラチュクのすぐ後の16位でした。

演技後のインタビューで、デニスはソビエトとヨーロッパのメンタリティーの違いと、フィギュアスケートからなくなっていることについて少し話してくれました。

 

コーチなしの練習はとてもつまらない

- デニス、オリンピックはどうですか?

- ここではステファン・ランビエール、僕のコーチに会えなくて本当に寂しかったです。彼は陽性反応が出て、家にいました。とてもつまらなかった。ステファンは僕が来た3日後にやって来ました。練習は大変でした。心の迷いはそこから生まれたのかもしれません。信頼する人物は、こういう試合や人生全般でとても必要です。祖父と数学の勉強をしていた時、彼にいくつかの問題について≪自信がある?≫と質問する意味はありました。僕は再確認を始め、正しかったものを間違ったものに直すことさえありました。コーチとも同じです。大事なのは一緒にやっている人と、行っている練習を信じることです。そして何かがない時、特にそのものの価値を理解するものです。しかし、今は全て順調です。彼がやって来て、僕たちは落ち着いてコミュニケーションが取れています。

そもそもパンデミックの時代にオリンピックがあるなんて大きなチャンスです。とてもありがたいし幸せです。これは全てのスケーターのキャリアにおける道しるべ、ステップです。(デニスは英語でmilestoneと言いました。 - 注≪Sport Express≫)ここにいることにはとても大きな意味があります。ここの氷は本当に魅力的です!この氷で滑るのは楽しいです。自分の結果、成功したヨーロッパ選手権で僕がもらった90点や、ストレスと競うことはとても面白いです。

- 演技中危うくフェンスにぶつかりそうでしたね。

- 僕はフェンスを磨くのが大好きなんです!(笑)

- 自分との戦いという話以外では、どんな結果が目標ですか?

- 6分間練習で4回転ジャンプができたことはとても嬉しいです。ショートプログラム自体に4回転ジャンプは必要ありませんでしたが、初めて6分間練習で跳べました。そして徐々に自信を付けています。僕の目標は、数本の4回転を跳んでいる他のスケーターたちのレベルまで一歩一歩近づくことです。

 

ジャンプ重視のためジャッジの知識は死に掛けている

- 芸術性ではなく難しいジャンプを奨励するシステムのせいであなたは負けているとは思われませんか?あなたはむしろ芸術家です。あなたのコーチも。しかしみんなフィギュアのジャンプに向かっています。

- 氷上のエアロビクスと呼ぶとより楽しいですよ。そうですね、ジャンプは大きな集中力を必要としますし、僕がこのスポーツで惹かれている感情面のコンテンツを悩ませています。つまり、表現力、完全性、美、音楽感覚ですね。僕は氷上に出て、動く様子を見せるだけでは物足りません。僕には感情面のコンテンツ、演技でエレメンツをただ行うだけではなく、僕が感じることを見せることが不可欠です。そして、人々が周りにいることが特に大事です。なぜなら、僕はジャッジのためにだけ滑っているのではなく、観客の皆さんのためにも滑っているからです。それが僕の喜びです。

今はみんながジャンプを重視していて、ジャッジの知識は死に掛けています。スケートの観点から見た正しいターン、図形を描くとはどういうことなのか?システムは変わっていて、いつも技術点と構成点の間に上下の波があります。自分の身体をコントロールする芸術がなくならないで欲しいです。なぜならターンする時にスケート靴をやわらかくスムーズにコントロールすることは、ジャンプの際に瞬発的に速く滑る能力と比較すると全く別の話だからです。これは別の種類のスキルです。

- 変更のようなものを提案されますか?

- 今は何も提案しません。僕はシステムを尊重していて、僕が好きなことについては忘れないまま、それに従おうとしています。僕はスケートするのが好きです。僕をショーマンと呼ぶことはできませんが、僕はスポーツをショーとして受け入れています。おそらく、将来変わるルールがあるでしょう。でも、僕はフィギュアスケートが好きです。エレメンツを実行する際の攻撃性や闘争性だけではなく、僕にとって、自分の印象、感情、音楽の理解を観客の皆さんとわかり合うことが大事なんです。

- 団体戦はご覧になりましたか?

- はい、ちらっと。サーシカ(ガリャモフ)が最後の要素で転倒してしまったことが何より残念です。男子のショートプログラムはとても気に入りました。宇野がやったこと、ネイサンがやったこと!彼らはあふれる程の美しさで今のシステムの華々しさを見せてくれました。アイスダンスを見るのも楽しかったです。二つのプログラムで彼らに何が起こったのか少しわかりませんでしたが…。

- シニツィナ/カツァラポフが負けた理由のことですか?

- システムにはあまり詳しくなくて、ただアイスダンスが好きなんです。自分のために何かを過去の内容からピックアップするのが好きです。少しシステムがわかっていませんけれども、僕はそこからインスピレーションを感じています。でも、やっとファンとして楽しめるようになりました。

- アイスダンスへの転向を考えたことはありますか?

- 今のところ僕は男子シングルスケートの代表で、それを変えようとは思っていません。

 

スイスでは練習したくなければ練習しない

- あなたは主にロシア語を話す人たちが住むダウガフピルスで生まれました。ご両親はソビエトで育ち、今あなたはスイスにお住まいです。あなたはよりソビエト的ですか?それともヨーロッパ的?

- 僕は完全にソビエトのメンタリティーで育ちました。でもどうやってスイスまでたどり着いたのでしょうか?パリ、ソチを経て、世界中で滑りました。そして、それぞれの文化が尊重できるものだと気付いています。みんなに自分の場所があります。選択の大きな可能性があるのはとても貴重なことです。そういうことを尊重しています。アグレッシブではないですが…。でも、文化がdetermined、明確な目的を持っていることを尊重しています。

- 説明してください。

- 僕の母はこの全てを成功のエンジンと呼んでいました。彼女は知らなかったことがあったかもしれませんが、ニコニコしながら後押ししてくれました。いわば、充電です。でも、僕はスイスの文化もとても尊重しています。もし練習したくなければ練習しない、それは本人が決めること。自己責任であるという考え方は、強い母に頼り家にいた時には欠けていました。

もしそれぞれの文化から一番良いところを集めたら、とても進歩した素晴らしい人物になるでしょう。数学だけでなく、芸術も理解しているような。僕がお話しした祖父は、物理学の大学の学科長でした。そして、僕は芸術と物理学が合わさる方法を探し出すのがとても好きです。フィギュアスケートはちょうど見事に合わさっています。一方ではジャンプ、これは純粋な物理学で、空間での対象の動きです。エネルギー、速さ、身体の角度の程度を計算できます。しかし、同じ人はいません。全ての人に自分の道がありますし、それぞれが自分のやり方で自分をコントロールしています。