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ガチンスキー:引退後の生活、ミーシン先生のことなど

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アルトゥール・ガチンスキー:プルシェンコは自分のところへ呼ばない

世界選手権の銅メダリストは引退後の生活について話した

 

2022年4月10日

著者:ソフィア・サフチェンコ

 

世界選手権銅メダリストでヨーロッパ選手権銀メダリストであるアルトゥール・ガチンスキーは、≪Sports Daily≫のインタビューで、引退した理由を話し、ミーシンとタラソワを比較し、なぜ自分の生徒たちを口笛で呼び寄せるのかを説明しました。

アルトゥールはエフゲニー・プルシェンコと同じグループで滑っていました。アレクセイ・ミーシンは、彼を有名なチームメイトと比較し、ガチンスキーの中にフィギュアスケート界に上りつつある星を見ていました。今、アルトゥールはサンクトペテルブルクのミーシンのスクール≪スターアイス≫でコーチとして働いています。話しやすいように会話の初めに敬語で話すのをやめました。

- あなたの現役時代のことから話を始めるわね。あなたが未来のエフゲニー・プルシェンコと予言されていたのは有名な話だけど、ある時運命は別の指図をし、あなたのキャリアは下り坂になった。根本的な原因はなんだったと思う?

- 時間が経って、僕は自分に起こった全ての事を分析したけど、まず、引退した原因はケガだったと言えるよ。17~18歳の頃から背中が痛くなり始めて、今は2回背中の手術を受けて、ゆっくりと回復しているよ。それと、当時僕はアレクセイ・ニコラエヴィチ(ミーシン - ≪Sports Daily≫)とお互いに理解し合えていなかったんだ。

- アレクセイ・ニコラエヴィチは自分の本に、大雑把に言うとあなたは飲み歩いていた、人生や酒の味を楽しんでいたと書いていたわ。今、人生のその時期のことを後悔してはいない?自制心を働かせキャリアの終わりまで少し我慢することはできたでしょう?

- そういう問題があったのは僕だけじゃない、遊んで楽しく過ごしたかったのは僕だけじゃないと思うよ。逆に、こういう質問をしよう。18~19歳でそういうことをしていないのってどんな選手?当時、僕は練習を完全にほったらかしたわけじゃない。行ってトレーニングしていたよ。でも、きっともっと真剣に練習に取り組んでいた人がいたんだね。僕は何も後悔していない。僕がしたこと全てが僕の人生経験だと思う。結論を出して、より賢くなった。

- 自分の名前をフィギュアスケート界の歴史にはっきりと残すことができなかったのが残念じゃない?自分のキャリアは十分価値があったと思う?

- もちろん。自分は十分価値のある選手だったと思っているよ。ロシアには世界選手権銅メダリストとヨーロッパ選手権銀メダリストはそんなに多くなくて、指で数えられるくらいしかいない。僕の後、次のメダルを世界選手権で獲ったのはミーシャ・コリャダ(彼は2018年の世界選手権で銅メダリストになった - ≪Sports Daily≫)だけだよ。僕のキャリアはもっと良いものにできたとかいう議論はするつもりがないよ。でも、僕のキャリアは明るくて充実したものだった。

- アレクサンドル・ズーリンは自分の本≪人生のアイスダンス。私は愛について全てを知っている≫で、若い頃にあったフィギュアスケート仲間たちとのどんちゃん騒ぎについて書いているけど、なぜスケーターたちはそんなに≪勝利のお祝い≫が好きなのか教えてくれない?アルコールと肉体的負荷をどうやって両立するの?

- ズーリンの時代はそうだったのかもしれないけど、僕の世代ではすごいどんちゃん騒ぎはしなかったよ。試合の後はいつもバンケットがあって、グラスでワインを飲んだら部屋に戻って寝てた。それで僕たちの騒ぎは全部終了。今の子たちは全体的にとても規則正しいんだ。僕たちが試合に行った時、僕は最初、彼らがどこかで何かに巻き込まれたり、誰かが彼らの生活態度について何かを言ってくるんじゃないかと心配していたけど、今の所そういう目に遭ったことがないよ。

- 完全に仮の話だけど、ホテルの部屋に寄ったら、そこであなたの生徒たちが試合のお祝いをしていたという状況を想像したら、どんなリアクションになる?

- 正直に言うと、そんなことも想像したよ。どんなことがあろうと、同年齢の子供達の前で仲間との関係をはっきりさせるつもりはない。それは心理上の観点から正しくない。後で、子供とその親と話し合いをするよ。

- 2013年に、あなたはミーシンから離れ、モスクワのタラソワの所へ移籍したわね。シニアの選手たちがあるコーチから別のコーチへ移籍するのは生産的だと思う? それとも、そういう方法でスケーターは自分の問題から逃げていると思う?

- 全て選手本人やその選手がいた状況と移籍先の状況次第だね。僕たちはいつも自分たちがいない場所が良いように見える。でも、水中の石はどこにでもある。僕は移籍の具体的なことはコメントできない。選手とチームの相互関係がどんなものだったかを理解しないと。スケーター本人以外には、決して誰にも移籍の本当の理由はわからないよ。生産性については、その選手が新しい情報を受け取る準備ができているのか、そして、どれだけ早く新しいシステムに対応するかによる。もし、環境の変更を背景に、そのスケーターが進化し始めたら、移籍は成功したと言えるんじゃないかな。

- トゥトベリーゼからブイアノワへ移籍した後、アリョーナ・コストルナヤの今後のキャリアがどうなるか予想してみて。

- アリョーナとは個人的な知り合いじゃないから詳しく話せないけど、僕はエレーナ・ゲルマノヴナ(ブイアノワ - ≪Sports Daily≫)がどういう仕事をするのかは知ってる。過去のコンディションに戻すために、アリョーナがボドレゾワのアドバイスを聞くかどうかってことだけが問題かな。(両方名前が出ていてややこしいですが、ボドレゾワ(旧姓)=ブイアノワです。)

だって、コーチとの相互理解は共同作業だから。僕はいつも自分の生徒たちにこう言っているんだ。僕は君たちに医者みたいにこうしろとアドバイスするけど、その後、それが自分に必要かどうかは自分たち自身で決めてって。

- ミーシンとの仕事について教えて。側から見ると、彼はいつも賢明で落ち着いているように見えるけど、実際そうなの?

- 彼はいつもとても陽気で親切だよ。ジョークやおしゃべりが大好きなんだ。彼のところにいた間ずっと、彼の機嫌が悪いところを見たことがないよ。

- 二人のフィギュアスケートの先生、ミーシンとタラソワを比べたら、どちらと仕事するのが簡単?

- 小さい頃は、アレクセイ・ニコラエヴィチとトレーニングするのが好きだった。彼の言うことをすぐ理解できたし、練習も簡単に進められた。成長したら、彼と繋がっていた糸が切れてしまった。大人になったら、タチアナ・アナトリエヴナとの練習の方が簡単だった。彼女は押しが強いし、いつもわかりやすいロシア語で話すから。

- プルシェンコとの関係はどうだった?

- ある時期まで僕たちは同じ時間に練習していたけど、その後、別々になった。小さい頃は、僕たちはペイントボールを撃ちに行ったり、どこかへ散歩に行ったりできたんだけど、その後、親しくコミュニケーションを取る事がなくなったんだ。

- 彼は自分の学校にあなたを呼ばないの?

- 呼ばないよ。

- 引退後、逃げ場がないことが理由でコーチを始める人が多いけど、あなたの場合、コーチの仕事は天職?それとも必要性があって始めたの?

- 確実に、僕はずっとコーチがやりたかったし、14歳くらいの時にそれがわかったんだ。引退した時、色々なアイデアがあった。でも、僕は幸運にも、アレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシン、タチアナ・ニコラエヴナ・ミーシナ、タチアナ・アナトリエヴナ・タラソワ、タチアナ・ニコラエヴナ・プロコフィエワ、エレーナ・ゲルマノヴナ・ボドレゾワ、スヴェトラーナ・ウラジーミロヴナ・ソコロフスカヤというような偉大なコーチたちと仕事ができた。彼らは自分たちの一部を僕につぎ込んでくれた。僕は得た経験や知識を伝えないとね。この道から外れるのは得策じゃなかった。

- あなたはミーシンのシステムで仕事をしているの?

- 僕の仕事は、いろんなコーチから得た知識を共生させること。アレクセイ・ニコラエヴィチは僕にとてつもない量の知識をつぎ込んでくれたから、基本的なベースはもちろん彼だよ。それから、僕はモスクワで練習していたからその経験も使っているよ。モスクワの知識を加えたミーシンのテクニックが圧倒的に多いかな。

- あなたのチームにはどんな専門家が入っているの?

- 初めて仕事に行った日から、ニコライ・アルジャエフと協力しているよ。彼はミハイロフスキー劇場のアーティスト。フィジカルトレーニングのコーチはイーゴリ・アフォニン。氷上コーチはアレクサンドル・ウスチノフ。スケーティングの専門家としてエヴァ・クーツもグループで働いているよ。

- ミーシンは≪スターアイス≫のコーチたちの中から相応しい交代要員を準備したのかしら?

- それはアレクセイ・ニコラエヴィチに聞かないと。彼はまだ働き続けてるし。

- 彼の労働能力の秘密は何?あの年齢であの仕事量は明らかに大変よね。

- 彼の若さの秘密はいつも動いていることだよ。サメは止まると死んでしまう。彼はいつも働いていて決して止まらないんだ。

- 国際大会からロシアのスケーターたちが除外された後、あなたのグループの選手たちは練習へのモチベーションをなくしていない?

- 僕の生徒たちにはスポーツマスターになるという大きなモチベーションがある。マスターの証明書は決して誰も奪わない。称号の存在は大学に入る時の助けになるし、ある分野ではいつも尊敬される。今はマスターになるのは簡単じゃない。この称号を手に入れるまで滑るには多くのことをしなきゃいけない。男子は全ての3回転とトリプルアクセルが必要。状況に関しては連盟の声明を待たないと。でも、ロシアの大会も誰も中止にできない。そこで滑って称号をもらうことはできるよ。

- 子供のフィギュアスケートには制裁措置に関連した減退はないと思う?

- あるかもしれない。それには、ご両親が子供にスポーツを始めさせる時にどんな目的を追求しているのかを考慮しないと。モチベーションは様々。オリンピックチャンピオンに育てたい人もいれば、ただ健康のために、そして強い意志を育てたい人もいる。
公式な声明がない間、今後の展開の色々なヴァリエーションを考え出すことができる。僕はまずISUとロシア連盟の決定を聞き、それから今後することを考えたい。

- 最後に、スケーターと仕事する時のマイルールを簡単に教えて。

- 僕は厳しいコーチじゃないし、叩いたり殴ったりはしない。でも、僕は公平で、選手たちもそのことを知っている。もし何か間違ったことをしたり、遅刻したら注意する。今、僕のグループにいる子たちは15~17歳で、彼らに大声で言うようなことはもうしたくないし、彼らを押さえつけたくない。僕は自分の仕事に全力で打ち込んでいて、生徒たちにも同じことを求めているんだ。練習に行ってフェンスの外でスマホを見ながら過ごすことはできないし、手術後の今でさえ、僕はコルセットを付けていて一定の動きはできないけど、それでもリンクに入って、自分の感情を出しているよ。

- あなたが選手たちを自分の所へ口笛で呼び寄せているのを見たわ。このやり方はどういうこと?

- いつもアレクセイ・ニコラエヴィチがそうしていたんだ。僕が彼に注意を向けるように。全て彼から始まってる。僕の生徒たちはそれに慣れているし、リンク中に届く声で≪こっちへ来て≫と叫びたくないから、このやり方を選んだんだ。それに、みんな集中していてシーンとしている試合の6分間練習で、僕は大声を出して手を振ることはできない。僕のことをジャッジたちや他のコーチたちが見ているし。素早く口笛を吹いたら彼らは近付いて来たよ。