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アルトゥニアン:ロシアのフィギュアスケートの"殺害"とヌグマノワのスキャンダルについて

rsport.ria.ru


2022年6月16日

アルトゥニアン – ロシアのフィギュアスケートの"殺害"とヌグマノワのスキャンダルについて

ボリス・ホドロフスキー

 

オリンピックチャンピオン、ネイサン・チェンのコーチは、ジュニアからシニアへのスケーターの移行年齢引き上げの最も熱心な支持者の一人でした。数年前、ラファエル・アルトゥニアンはインタビューで比喩的な比較をしました。すぐに引退する若いオリンピックチャンピオンたちについて論じているときに、彼は使い捨てカップではなく、陶磁器のカップからコーヒーを飲む方が好きだと言いました。このフレーズは、ロシアのフィギュアスケートファンたちをほぼ二分する激しい反響を呼びました。ISU総会が終わった後、リア・ノーヴァスチ・スポーツの記者はアルトゥニアンと話しました。

 

- ジュニアからシニアへの移行年齢の引き上げが決定された後、あなたは既に"陶磁器のカップ"を準備されましたか?

- 皮肉を言っても無駄ですよ。最近、ますますリーザ・トゥクタミシェワのことが思い出されています。25歳で出場し続け、新しい要素を身に付けることまでできるとか。もちろん、この決定はロシアのフィギュアスケートの発展に影響を与えます。具体的なことは、直近のシーズンでわかるでしょう。起こったことは仕方ありません。

- 前回のISU総会では、この問題は検討さえされませんでしたが、カミーラ・ワリエワの事件の後、ほぼ満場一致で可決されましたね…。

- 私はこの決定に同意しますが、何れにしてもISUは17歳を上限にしました。それまで14歳だったのを15歳にしたみたいに。どこの国の人でも良いですが、ものすごくやる気のあるお母さんが、「結果を出すために娘にステロイドを使わせました!私たちは彼女にかなり入れ込んだので成果が欲しかったのです。彼女はドーピングが見つかってしまいました。」と、表明するときがきたら、役員たちはどうするのでしょうか。もちろん少女はなぜ従ったのかと質問されるでしょう。そして、少女は他にどうしようもなかったと答えるでしょう。もし彼女が家族の元を去ったとしたら、すぐに後見機関が彼女に関心を持つことでしょう。18歳までの若い選手たちは、単純に法的責任を負うことができません。生理学的には17歳も18歳も違いはあまりありませんが、法的な違いは大きいです。ISUの役員たちは、再び子供たちに対する違法行為を可能にする抜け穴を残しました。しかし、大人たちがこのことで犠牲になることはありません。

- この出口のないサークルから抜け出す方法はあるのでしょうか?

- 率直に真実を話すことを学ぶ時期です。この問題が最初に出たのはもう10年位前ですが、今になって動きのようなものが起こりました。そして、これらの改革がロシアのフィギュアスケートを殺すという話は根拠のないものです。ロシアのフィギュアスケートには、いつもどんなルールに対しても適応する方法を見付けられるくらいのポテンシャルがあります。もちろん、改革はまず役員たちに影響を与えます。多少ですが、コーチにも影響を与えるでしょう。

- エリザベータ・ヌグマノワがコーチのエフゲニー・ルカヴィツィンに対して行った告発に関連したスキャンダルの余波はアメリカまで届きましたか? 

- アメリカではこういうタイプのスキャンダルは珍しくありません。国の連盟組織にはそのような状況に詳しい専門の部門さえあります。コーチと選手はお互いに思いやりを持って接し、お互いに話を聞くべきだと私には思えます。

- あなたは余計な体重について言及することさえ法廷審理の理由になるかもしれない国で、どのようにスケーターたちに自分の体重をコントロールすることを上手く納得させているのですか?

- "余計な体重"という言葉は私たちのところではタブーです。私たちは"規格"という用語を使っています。そして、スケーターたちは、彼らの規格が要求に合致していなければ、練習でさえ深刻なケガをしてしまうかもしれないということをよく理解しています。しかし、当然の結果について、ただ忘れてしまうだけかもしれません。もし選手、特に女子選手に常に太っていると繰り返し言っても、余計な体重は減りません。食餌療法専門医や管理栄養士を勧めることはできます。コーチの仕事は、選手が自分たちで決めた目標を達成するのを助けることです。そしてそのためには正しい方法を選択する必要があります。

- 本当にアメリカでは、コーチがその子を自分のグループに入れないでくれと同僚を説得することで、スケーターはマスコミを通じてコーチを告発できるのでしょうか? 

- そういうケースは思い出せませんが、アメリカには特徴があります。アメリカのシステムの主な長所は、選択肢が多くあることです。ここにはあるリンクの近くに他にもいくつかリンクがあります。良いコーチたちのために特別にアリーナが建てられることもあります。そして、それを行う準備ができているとても多くの裕福な人たちがいます。ヌグマノワの意見で、まさに彼女のコーチが彼女を入れないでくれと同僚を説得しているという言葉に、私は最も不快感を与えられました。アメリカでは全てが簡単です。もし選手が別の専門家のところへ移籍したいなら、道徳的ポイントはただ一つです。必ず前のコーチに電話し、グループに来たポテンシャルのある新人が、彼に支払いを済ませたかを知らなければなりません。国家がスケーターの育成に大きく貢献しているロシアでは、ずっと大変です。申請を書き、連盟会議で移籍を承認してもらう必要がありますし、一定の期間内に行わなければなりません。私は誰かがリンクのオーナーに電話して、「アルトゥニアンを雇わないでください!」と言うのを想像するのが難しいです。逆に、全ての生徒と一緒に引き受けられるでしょう。

- ネイサン・チェンのコーチができなくて寂しくはないですか?

- オリンピックの後、ネイサンは自分の仕事をしました。出張公演ツアーで国内をまわり、本を出しました。もちろんネイサンがいなくて寂しいですが、私たちはとても自然な関係なのです。それぞれに自分の人生、自分のビジネスがありますが、チェンは、もしサポートが必要になったらいつでも受けられることを知っています。今のところ彼は必要としていません。