ただのフィギュアスケートファンのロシア語翻訳

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ザギちゃんのインタビュー1

ちょっと前にTeamZagitovaのアカウントで上げてくださっていた雑誌「Мир фигурного катания(フィギュアスケートの世界)」の記事の訳です。ザギちゃんの誕生日に行われたインタビューのようです。ながーーーくて力尽きそうだったので分けます!

この雑誌ですが、そのうちロシアのスケート連盟のページにPDF版もアップされると思います。サマリンくん表紙の前号までは↓こちらで読めます。

fsrussia.ru


[表紙] 

世界を制したアリーナザギトワ

ザギちゃん

[p.7]

埼玉の世界選手権でロシアのスケーターは5つのメダルを獲得した

2019年世界選手権の記憶

オリンピックの勝者、アリーナ・ザギトワが、選手生活で初めて女子シングルのチャンピオンになりました。アイスダンスのヴィクトリア・シニツィナ - ニキータ・カツァラポフと、ペアのエフゲニア・タラソワ - ウラジーミル・モロゾフが銀メダル、ナタリア・ザビアコ - アレクサンドル・エンベルト、そしてオリンピック銀メダリストのエフゲニア・メドベージェワが銅メダルを獲得しました。男子シングルではロシア選手はメダルを獲得できませんでした。この日本の大会の結果、ロシアチームは3種目で3枠を獲得しました。女子シングル、ペア、アイスダンス。男子シングルは1枠減ることになりました。次のカナダの世界選手権にはロシアから2名の男子スケーターが出場できます。

[p.8]

ザギトワのタイトル

[p.9]

アリーナ・ザギトワは埼玉で、唯一彼女が持っていなかった世界選手権チャンピオンのタイトルを自分のコレクションにを加えました。昨シーズンは彼女にとってハッピーエンドで終わるハリウッド映画のようでした。楽観的な始まり、不安で困難な期間を経て、幸せな金メダルのフィナーレ。もしこんなシナリオが実際に書かれたとしたら、複雑な演出に育てられてきた現代の視聴者たちは、きっと憤慨することでしょう。「これは本当らしくない。こんなことは起こらない。」しかし、これはシナリオではなく本当にあった現実の話です。そして、こうしたモチベーションになる話があるおかげでスポーツは愛されているのです。

ザギトワは、オーベルストドルフで行われたチャレンジャーシリーズの見事な勝利でシーズンをスタートさせました。この試合で彼女は新ジャッジシステムで基準となるレコード記録を出しました。しかしその後はそれほど楽しい期間ではありませんでした。グランプリファイナルは日本の紀平梨花に次ぐ2位、ロシア選手権では5位となり、この試合でアリーナはシニア選手の中で最高位になることができませんでした。1月、彼女はヨーロッパ選手権で初参加のソフィア・サモドゥロワに負けました。そして、(オリンピックで金メダルを獲得したスケーターの多くが現役を引退する中)16歳のザギトワは、試合に出場し続けただけではなく、トップレベルに留まっていましたが、オリンピックチャンピオンは勝利だけが期待されていたため、彼女の2位という順位は世間からは時折敗北かのようにとらえられました。ザギトワが世界選手権にどのような価値を持たせることができたのかは、私たちにはおそらくわからないでしょう。しかし、確実に、これは"少しの血(リスク、苦しみ、損失などが少なかった)"の範疇ではなかったと言う事ができます。アリーナのチームと彼女自身はこのことで記念碑を建ててもいいでしょう。なぜなら、準備に多くの問題があったにもかかわらず、埼玉の世界選手権でザギトワは、ただクリーンに滑り切っただけではなく、2つのコンビネーションを演技後半に行うという、彼女のフリープログラムの中で一番難しい選択肢を選んだのですから。これにはリスクも、勇気も、女王らしく演技したい、もっと正確に言えば何があってもチャンピオンらしく演技したいという願望もありました。

ザギトワとロシアチームの女子シングル選手全員の演技は、埼玉で強い印象を残しました。なぜなら、この世界選手権で、彼女たちはスポーツには個人的なタイトルや順位よりも大切なことがあるということを見せてくれたのですから。そしてザギトワと彼女のコーチたちは、自分の経歴に一行追加するためだけではなく、自分個人のためでさえなく、大げさかもしれませんが、国のために戦いました。

今シーズンはロシアチームにとって難しいシーズンでした。悲観論者たちは、世界選手権では女子シングルでさえロシア人はメダルを取れないのではないかという不安を隠しませんでした。 そうなったらすべての人に大打撃となったでしょう。なぜなら世界選手権ではいつも、次の年の枠が割り当てられており、女子シングルの枠が2つになるか3つになるかの違いはロシアチームにとっては極めて重大なことです。国内の選考や競争に巻き込まれる全ての人々の状況を変えるからです。

埼玉で、3人のロシア女子は、女子チームにそのような大変なことが起こらないようにできる限りのことをしました。彼らの演技は観客に色々な意味で"治療効果"を持つ特別な喜びを与えました。つまり、たとえ難しくても問題を解決してくれる、信頼できる人たちがいるということは、人生を楽観的に見る助けになるのです。

新シーズンは、アリーナは自分のためではなく、シニアデビューする若いジュニア女子選手たちのために貴重な枠を獲得したということになるかもしれません。2017年の冬、もう一人のスケーター、エフゲニア・メドベージェワが、ロシアの全てのオリンピックチームが韓国のオリンピックへ出場することを許可してくれるようIOC理事会に要請したことと似ています。そして、アリーナとジェーニャは、「何が起こるか分かっていても、もう一度これを繰り返す覚悟がある?」と質問すれば、「もちろん」と答えてくれるだろうという印象を与える選手たちです。おそらくまさにそれが彼らが必要な時に冷静さを保てる理由なのでしょう。


タイトルに「インタビュー」と書いてしまったけど、なんと最初の4枚ではまだインタビューが始まっていませんでした😓

次回は始まります💦