１のつづきです。
- なぜタチアナ・アナトリエヴナと上手くいかなかったんですか？移籍後、きっと彼女とヤグディンとの間の出来事を考えていたのではありませんか？
- いいえ。リョーシャには彼の道があり、僕には僕の道がありました。なぜ上手くいかなかったか？一連の怪我、一連の愚かさ、結局僕はもう他のトップ選手たちができることが出来ないことがわかりました。その頃ちょうどネイサン・チェンやボーヤン・ジンが出てきました。そしてとても鮮やかに、4回転ルッツやフリップを習得し、見せ始めました。僕は世界選手権の銅とヨーロッパ選手権の銀を獲った後、今僕が最大限やっても5位あたりの順位だということを受け入れられないことがわかりました。より高い順位を獲るには最も難しいジャンプを覚える必要があります。これには健康が必要です。とても健康でなければなりません。僕はそれほど健康ではなかった。深刻な背中の問題が邪魔をしました。
- あなたがタチアナ・アナトリエヴナの所へ移籍した時、彼女はもう事実上トレーニングはしておらず、アドバイスをくれるだけでした。合意に達するのは難しかったですか？
- とんでもないです。彼女はとても穏やかにコンタクトを取ってくれました。僕は彼女に電話をし、会ってくれるように頼み、全ての状況を説明しました。彼女の監督下で滑り始めることを約束し、それから彼女は全てのトレーニングで僕と一緒にいると言っただけです。こういう経緯です。音楽の選択、プログラムの演出、全力を傾けて十分価値のある練習をしました。
- あなたと同じで、タラソワはマキシム・コフトゥンに十分たっぷりとアドバイスをしていました。あなたたちの間に内部の競争はなかったんですか？
- 個人的には少しも自分へのアドバイスが減っているとは感じませんでした。落ち着いて自分の練習をし、全ての要求を実行しました。その時にマキシムが何を感じていたのかはわかりませんが、この点では彼にも何の問題もなかったように思います。
- タチアナ・アナトリエヴナについて、彼女はなかなか良い心理学者でモチベーションをアップさせる人だと言われています。あなた個人的には彼女との練習から何を得ましたか？
- タチアナ・アナトリエヴナとの練習を始めてから僕の性格の中に厳しさと不屈さが出てきました。タチアナ・アナトリエヴナが話しているとき、彼女に口答えすることは不可能です。彼女に逆らうくらいならすぐに銃殺された方が良い。しかし、大事なのは彼女が約束を重んじる人であることです。そして彼女の受け持つ選手たちは各自この考え方に従わなければいけません。もし反論すれば、さっさとやりなさいと言われるでしょう。
もう一つの性質は不屈さです。彼女はとても強い、本当に強い人です。それに情が深い。とにかく彼女は一瞬のうちにトレーニングの状況に加わることができました。彼女は、優しくする必要がある時、厳しくする必要、または怒る必要さえある時、僕にプレッシャーを与えるべき時をいつもとても鋭く感じていました。
- 彼女に押しつぶされるように思えた時はありませんでしたか？
- ありました。そして、僕がどんな状況のどんなプレッシャーのもとでも生き残ることができるように、彼女はこれを意図的にやっていたと思います。試合でアスリートは普通極限まで自分に集中し、周囲で起こっていることに気を取られないようにします。そしてこれは正しいことです。しかし、あらゆるばかげたことを頭から追い出すと、その後正常な気分をまた捕まえるのがとても難しくなります。タチアナ・アナトリエヴナは、今後試合でどんな状況であっても自分を裏切らず自分の演技に集中できるように、トレーニングで僕に意図的にストレスを与えていたと思います。
- あなたはネイサン・チェンや他のトップ選手たちと競争できないと気付いた時に引退を決めたとおっしゃいました。しかし、去年の世界選手権でさえ、ショートプログラムの後の上位3人にジェイソン・ブラウンがいました。4回転なしで。
- クリーンさ、スピン、要素の出来栄え、カリスマ性を選んでいるそういうユニークな選手たちはいます。彼らはなんらかの方法でジャッジを魅了して、高い評価をもらっています。しかし、2020年に4回転を跳ばない選手がいる男子の試合を見るのは、特にサーシャ・トゥルソワがフリープログラムでもうすぐ5本の4回転を跳ぶと言っていることを考えるとおかしいように思えます。
- 3年前、あなたが復帰を決めた時、ブラウンに近かったですか？それともトゥルソワとチェンに近かったですか？
- 3年前、僕はとても強く復帰したいと思っていました。背中の状態が少し良くなり、トリプルアクセル、4回転トウループが跳べるまで回復しました。新しいプログラムと新しい要素を覚える真剣な計画もありました。試しましたが、また背中が痛み始めました。それで終わりです。健康はなくなってもう帰ってこない、皆さんに空約束をするよりも引退した方が誠実だということがわかったんです。
つづき → ３
