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ミーシン先生の本より、バンクーバー - 歴史のジグザグ2

 のつづきです。


 社会主義時代に皮肉で言ったように、≪党の基本路線≫はまたもやジグザグを作りました。私たちのスポーツにおいて国際連盟、つまりISUの政策が、とても大きな意味を持っているということは秘密ではありません。バンクーバーオリンピックの前、アメリカのスケーターは22年間金メダルを獲得していませんでした。そのため、全ての力がオリンピックの勝利のための戦いに関与していました。専門家も、ジャッジも、ジャーナリストも、そして世論さえも。

 エフゲニーが化身だったロシアのスケーターたちのスケートと比較すると、そのジャンプトレーニングがより優れていることがわかりました。当時、他の誰が≪懸命に≫4-3-3コンビネーションを跳んでいましたか?誰がトリプルアクセルとトリプルトウループのコンビネーションを≪意地を張って≫跳んでいましたか?おまけに素晴らしいプログラムを持ち、それを感情的に演じながら。

 この状況で、私たちの素晴らしいISUは、私たちの技術の一番弱い面を探し始めました。簡単に言えば、助走です。確かに、最も難しいジャンプを跳ぼうとしながら、ステップの見せかけだけの新しさに混乱させられるのは大変です。その時代に生まれた選手たちには、これは必要なものではありませんでした。まさにこのテーマが、カナダとアメリカの連盟によって強調され始めました。

 ISUの権威あるジャッジの一人、シシィ・クリックは、≪トランジションでプルシェンコに勝とう≫プロジェクト実現のために、特別な厳しさを見せました。国際ジャッジセミナーを行い、彼女はジェーニャのプログラムの録画を再生し、最も簡単な助走部分を探し出し、嘆き始めました。≪ご覧ください、走って移動、また1つ、2つ、3つ…≫ そしてこれは全て次のオリンピックの直前でした。この提携のポジションは、カナダのスケーター、パトリック・チャンが、二つとないスケーティングの才能を持ち、彼のスケーティング技術が文字通り観客を魅了していたという事実により高まっていました。

 プルシェンコの主要な二人のライバル、パトリック・チャンとアメリカ人のエヴァン・ライサチェクは、インタビューで、彼らに4回転ジャンプは必要ない、彼らは繋ぎのステップでエフゲニーに勝つ、と言うようになりました。ライサチェクとプルシェンコのスケートの全ての面と、プルシェンコの驚くべき切り札である4回転ジャンプとを比較しても、オリンピックの金メダルの運命がトランジションで決まるなんて信じられません。バンクーバーの前にも後にも、オリンピックに4回転ジャンプなしで勝つことはできませんでした。


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