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川口悠子ちゃんのインタビュー:ザギトワには全てがある

少し前の6/10に出ていた記事です。

www.sport-express.ru


≪もしザギトワが戻ってもどんな目的なのかわからない。全てを達成している。≫川口の意見

ドミトリー・クズネツォフ

 

ロシアのために2度ヨーロッパ選手権で優勝し、世界選手権で2つのメダルを獲得した日本人の川口悠子 - 今のフィギュアスケートのスターたちについて。

川口悠子はロシア代表として出場するために国籍を変え、海を越えアメリカのタマラ・モスクビナのもとへ行くために全てを捨て、南クリル諸島(北方領土)問題についての卒業論文を書きました。バンクーバーオリンピックで残念な4位に終わった後、2014年のソチオリンピックには、パートナー、アレクサンドル・スミルノフの怪我のため出場することができませんでした。現在、川口は彼とショーに出演しており、ジャッジやコーチをし、そしてフィギュアスケート以外で成長しています。

≪Sport Express≫はこの多才なロシアの女子スケーターと、若い女子スケーターの美しさの欠如について、アリーナ・ザギトワの人気について、日本とロシアのフィギュアスケートへのアプローチの違いについての話をしました。ところで、ロシアメディアによる悠子の最近のインタビューは、多数のフォーラムでロシア人女性を攻撃した羽生結弦のファンたちからの病的な興味を呼び起こしました。そのため、私たちにかなり広まっている日本の観客に関する理想主義は当てにならないことがあります。それでもなお、やはり日本人たちから学べることはいくらかあります。川口のロシア語は、ほとんど羽生の滑りと同じくらい申し分がありません。

 

今のフィギュアスケートでは全てのプログラムがお互いに似ている

- 悠子、あなたはあまり注意深くフィギュアスケートを見守っていないとすぐに仰いました。なぜですか?心を惹きつけられない?

- 私は滑っていた時も特に見ていませんでした(笑)私は滑るのが好きですが、見るのはもうあまり好きではありません。バレエの方が面白いです。フィギュアスケートを見始めるとすぐに批判を始めてしまいます。とりわけ、同じペアスケートでは現在トップレベルのペアがあまりいません。ヨーロッパではほとんど誰も残っていません。残念です。私たちが出場していた時、ヨーロッパ選手権はもっと権威があり、多くのペアがやって来ていました。

- なぜですか?説明していただけますか?

- みんなお互いに似ています。ただ難しく見えるレベル4の何かをする必要があるだけです。バリエーションはそんなに多くありません。全てのプログラムが同じになってしまい、魅力、独創性は失われています。シングルスケートも同じです。今、女の子たちが4回転を跳び、人々が5回転のことを考えているのは素晴らしい事で、これはわくわくします。しかし、私は誰が誰よりジャンプが上手いかではなく芸術も見たいんです。タマラ・ニコラエヴナ・モスクビナはフィギュアスケートを芸術だと考えています。

それにコーチたちも難しくなっています。このレベルであるためには、美しい動きを犠牲にしなければなりません。それはまだペア選手には特別なスタイルを与えていますが、ほんの一握りです。女子シングルは、みんな4回転を跳んでください。これは素晴らしいことです。私は大賛成です。私たちもサーシャ・スミルノフと4回転スローを成功させました。勝てますし疑問はありません。でも私には美しさは見えません。

- つまり、コストルナヤ、シェルバコワ、トゥルソワのプログラムには美しさが足りないと思われているんですか?

- はい。全く足りません。みんな。彼女たちについてというわけではなく、全体的にこのスポーツについて言っています。ISUの新しいルールのせいで、単に芸術にかける時間がなくなってしまっただけです。私自身、現在テクニカルスペシャリストで、それは理解しています。回転を数え、ステップ、スピンを見ています。全て似ています。

- 何の試合でジャッジをされているんですか?

- 私は新米です。まだサンクトペテルブルクで行われる小さな試合です。

- プレッシャーはありませんか?両親がなぜこうじゃなくああいうジャッジをしたんだと言いに来たりしませんか?

- 今の所ありません。でもそういうことはあると言われています。これは正しくありません。もちろん自分の子供たちを守りたいのでしょうが、私たちは自分の仕事をしています。常に新しいルールが追加されるのは私たちにも難しいことです。来シーズンまた変更されました。(これは中止になりましたね。)

- フィギュアスケートはいつか客観的になりますか?回転不足の角度はロボットで計測できますよね。

- それは良い一面もありますが、半回転と一つの悪いスピンのせいで≪さあ、さようなら≫と言われるのも間違っています。私はとにかく6.0システムが好きでした。今は美しいジャンプは回り切ったことにしたいけれど、動画を見ると何度か足りない。残念です。

- 失礼ですが、何のためにあなたはジャッジをなさっているんですか?お金は稼げないし純粋な利他主義ですよね…。

- きっとフィギュアスケートへの愛です。お金はショーに出て稼いでいます。本当のところ今はありませんが。今、私は自分のために新しい方向の道を開きました。それはあまりフィギュアスケートとは関係ありません。2、3カ月後に電話してください。今の所は秘かな計画なので(笑)でも、フィギュアスケートから完全に離れたくはありません。コーチの仕事ですか?私はタマラ・ニコラエヴナ・モスクビナのような偉大なコーチになりたいとは思っていません。趣味で子供たちに教えるのは好きです。たぶんいつか振付師はやってみます。

テクニカルスペシャリストとしての仕事で私はフィギュアスケートを見ることができます。それに私はジャッジではありません。私は点数は付けず、回転を数えレベルを決めています。これは楽しいし、同時に面白いです。あなたが仰る通りお金は稼げません。

- タマラ・ニコラエヴナの所でコーチはなさっているんですか?

- 彼女に頼まれたらいくつかのニュアンスを教えるのを助けることはできます。でも基本的には日本の子供たちと滑っています。

 

ザギトワには全てがある

- 悠子、あなたは3つの国の代表として滑っていました。日本、アメリカ、そしてロシア。アメリカのシステムについては色々耳にしています。日本ではどんなシステムなのか話していただけますか?国がお金を出しているんですか?それとも個人の学校なんですか?

- 私はもう長い間日本にいませんから全てを知っているわけではありません。でも以前はこんな感じでした。もし代表チームに入っていれば、国ではなく連盟が助けてくれますが、トップ選手ではない場合は基本的に全て親が払っています。フィギュアスケートはとてもお金がかかるスポーツですが、日本には多くのスポンサーがいます。もし見込みがあるなら投資してもらえます。

- つまり≪クリスタル≫のような実質朝から晩までトレーニングできるリンクは日本では想像できないということですか?

- はい。そういうリンクはありません。以前は選手が使える個別のリンクさえありませんでした。一般開放のリンクだけ!選手たちは朝の6時から10時までいて、それから学校へ行き、それから夜19時過ぎに戻ります。今は代表選手用の特別なリンクがありますが、それでもそんな体制で滑ることができるリンクのことを聞いたことはありません。

- ロシアと日本には他に驚くべき違いはありますか?

- 私はついていました。私の日本のコーチはロシアの専門家の方たちを招いていました。私は日本で実際はロシアのシステムでトレーニングしていました。だから私はサンクトペテルブルクに来た後楽でした。でも日本では全体的に個人的なアプローチが選ばれていて、もっぱら個人レッスンです。そしてそれはとてもお金がかかり、両親が裕福でないとたくさんのレッスンを受けることはできません。そうでないと、週に1、2回のレッスン、残りは自習です。私も本来はそうでした。私たちはロシアのコーチとグループでほぼ毎日練習していました。グループレッスンはより安いです。ロシアではこれがより普及していて、時々追加レッスンがあります。でもこれはどちらのアプローチがより好きかということです。

- ロシアのスケーターたちから日本の観客の方がロシアの観客よりも好きだと聞くことがあります。日本の観客の何がそんなに特別なんでしょうか?

- フィギュアスケートは日本では既にスポーツではなく音楽コンサートやショーのようなものです。スケーターたちは歌手やアイドルのようで、既にアスリートではありません。ファンは本当に多いです。そして彼らはなんらかの別のやり方でスケーターたちに接しています。

- 友好的にですか?

- あまりそうではありません。それは両親が子供たちに、または女の子たちが青年に対して持っているような本当に無限の愛です。スケーターたちは神のようなものです。ヘイトもあります。大きな愛があるときには、擁護もより積極的になります。しかし、私たちのスポーツでは、本当に皆さんそれぞれに自分の好みや意見があり、それに対してもっと落ち着いて接する必要があるように思います。でも、とにかく全ての行動が注目されています。にっこりした時、それが長かったのかとか、あらゆる細かい所を考察されています。リンクの上だけではなくリンクの外の趣味や熱中している事まで。

- 今はロシアでもザギトワの周りで似た話がありますね。

- はい。似ているかもしれません。彼女はとても注目されています。でもそれは彼女にとって素晴らしくて楽しいものです。

- 日本の仕事仲間から、ザギトワは紀平梨花も含めた多くの日本の女子選手たちより人気があると聞くことがあります。言い過ぎですか?それとも本当のことですか?

- 計測が難しいので何も言えません。でもザギトワは日本でとても有名です。多くの広告があり、彼女はたくさんのショーに出ているだけではなくテレビ番組にも出演しています。それにもちろん彼女は美人ですし。

- ロシアでは彼女の復帰について広く議論されています。彼女はノヴォゴルスクへトレーニングに行きました。つまり、復帰するということでしょうか?あなたはこれを望んでいましたか?

- 答えるのが難しいです。私はザギトワではないですから。でも基本的には彼女に復帰する必要はあるんでしょうか?彼女は全てを持っています。全てを達成しました。そして裏返して言えば、もし彼女が望むならなんでだめなんでしょうか?ただ彼女の目標が何になるのかが私にはよくわかりません。もし見つけ出したら素晴らしいですね。

- 17歳で選手をやめてしまうのは本当に残念です。あなたが足りないと仰っていた美しさそのものです。

- そうですね。でもこれは第二の人生を始めるチャンスでもあります。フィギュアスケートから離れ、好きな場所に働きに行けます。オフィスに行くことだってできます。以前は多くの人が長い間スケートをしていました。ロシア女子のトゥクタミシェワはまだ続けています。でも女子選手たちが4回転を跳ぶようになると、長い間キャリアを続けるのは難しくなります。だから私は彼女たちがジャンプしているのを興味深く見ています。でも美しさは足りません。それはすぐには現れません。そして理想的なバランスで、全てを徹底的にやって欲しいです。残念ですが今の所誰も成功していません。

 

コンディションは良く、機会があるならすぐに復帰したい

- あなたにとってフィギュアスケートで美しさの基準になっているのはどなたですか?

- シングルにはいませんが、ペアではゴルデーワ/グリンコフとベレズナヤ/シハルリドゼです。あと、サフチェンコの滑りも好きです。彼女は長くスケートをしていました。私たちより前から始め、私たちより後に引退した。彼女にとても敬意を持っています。彼女はスポーツと芸術性の両方を備えています。

- 彼女は復帰したいと言っていますね。

- そうなったらすごいですね。見たいです。私自身も実はそう思っています。引退したくなくて、もう1シーズン滑りたいと思っていました。

- 機会があるなら今すぐ復帰したいですか?

- はい。私は今良いコンディションですし(笑)ヨガを必ずやっています。振り付け、朝のジョギングも。小さな怪我は残っていますが私は全てできます。ジャンプ、スロージャンプ、ツイスト。サーシャ・スミルノフに強いることだけができません。彼は自分の学校を持っていますし、家庭もあります。まあ彼と私はショーだけで充分なんです。でも私たちは自分たちのレベルを手放したくはありませんでした。私は全てのことをする準備ができています。4回転スローはおそらく今はしませんけど。難しい要素ができなくなったらその時はピリオドを打ちます。でも全部できているうちは続けます。

- 4回転スローは今誰もやっていないですね。

- はい。それは良い事です。私たちの冠ですから(笑)私はこの要素が大好きです。だから女の子たちが4回転を跳んでいる時、彼女たちがどんな風に楽しんでいるのかを思い浮かべています。私自身は4回転スローをするためにペアに移りました。シングルで4回転トウループのトレーニングはしていましたが、一度も着氷できませんでした。スロージャンプならもっと簡単なんじゃないかと思ったんですが、そうではありませんでした。

- 家族のことについてですが、フィギュアスケートはあなたの個人的な関係を邪魔しませんでしたか?

- キャリアの初め頃にはそういうことがありました。でもその後、もし人間が素晴らしければ、すれ違いは障害にはならず、関係は生き続けるということがわかりました。でも私はやはり日本人の考え方を持っているのでロシアでは少し大変でした。だから私の心は自由なままです。

- 外で気付かれることはありますか?

- 一度もありません。私は中国人だと思われています。

- でも、問題があったことはありませんか?ロシアで人種差別はありませんでしたか?

- いいえ、そういったことも一度もありません。

- 現在モスクワとサンクトペテルブルクは徐々に規制が解除されていて、自己隔離体制が取り消されています。日本はコロナウイルスとの戦いの好例の1つです。私たちが制限を解除するのは早すぎるとは思われませんか?

- 難しい質問ですね。有難いことに、私の周りの人は誰も感染していませんが、これは本当にとても深刻な病気です。たぶんやはり少し早いのではないでしょうか。でもこれ以上人々を家に留まらせるのも、もう悪い影響があります。今は全てのことができるとは言えないと思います。出かけるとしても、公共の場ではマスクと手袋をつけて少しにしないと。人々は自分の安全には自分で気を配るようにしないといけません。日本人たちにはこの点で学ぶべきことがあります。それは確かです。

 

川口悠子

1981年11月20日船橋生まれ(日本)

アレクサンドル・マルクンツォフとのペアで日本代表として出場し、デヴィン・パトリックとのペアでアメリカ代表として出場した

2006年からアレクサンドル・スミルノフとのペアでロシア代表として出場した

ヨーロッパ選手権優勝(2010、2015)、銀メダル(2009、2011)銅メダル(2008)

世界選手権銅メダル(2009、2010)

ロシア選手権3度優勝(2008、2009、2010)

引退後はサンクトペテルブルクに住んでいる


なかなか興味深い内容だったんですが、日本のファンのことについてはうーん…?🙄

そういう人たちがどうしても目立ってしまうのかな。