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Olympicsのコリャダ君インタビューの訳

olympics.com


ミハイル・コリャダ:≪本当に良くたくさん練習するようになった≫

ロシアのトップシングルスケーターはミーシンとの練習、新プログラム、ペアスケートについての夢を語った

 

タチアナ・フレイド、タチアナ・ロゴヴィチ

2021年10月28日

 

前回と同じように、このオリンピックシーズンも、ミハイル・コリャダはきっとナショナルチームの≪ナンバーワン≫スケーターとして迎えるでしょう。しかし、この4年間、ミハイルは少し大人になり自分のスケートに磨きをかけただけではなく、コーチも変えました。コリャダを演技後にフェンスの向こうで待つのがアレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンになってから2年目です。ミーシンはアレクセイ・ウルマノフ、エフゲニー・プルシェンコ、アレクセイ・ヤグディンらフィギュアスケートのオリンピックチャンピオンを育てたコーチです。3度のロシアチャンピオンで2018年のオリンピック団体銀メダリストであるミハイルは、Olympicsに伝説的なコーチとの練習、新プログラム、そして将来の気持ちについて話しました。

 

ミーシンへの移籍について:≪僕にとって全て新しく全て違っていた≫

 

- あなたにとってオリンピックシーズンとそれ以外のシーズンの大きな違いは何?

- 違いは全然ありません。唯一違うのはもう一つ試合が増えるということ。それだけです。

- 昨シーズン、あなたはアレクセイ・ニコラエヴィチ・ミーシンのグループに移りました。それまではずっとヴァレンティーナ・ミハイロヴナ・チェボタリョーワのところで練習していましたが、あなたにとって、特に違ったこと、新しいことは何だった?

- 僕にとっては全てが新しく、全てが違っていました。違うグループ、違う練習日課、トレーニング、演技、振り付けの練習、フィジカルトレーニングのやり方、文字通り全て!そして、≪何か大きな違いを挙げてくれますか?≫と聞かれたら、≪全部です!これが大きな違いです≫と言えます(笑)

- 慣れるのは大変だった?

- 最初はとても大変でした。でもそれからだんだん慣れてきました。僕は多分まだこのシステムに慣れている途中だと思います。

- コーチ変更であなたのスケートは変わったと思う?

- はい。感情面とプロフェッショナルな面で成長したように感じています。そして、自画自賛はしたくありませんが、僕は本当に良くたくさん練習するようになったと思います。

- アレクセイ・ニコラエヴィチとの練習で特に気に入っていることは何?彼は既に80歳だけど、この年齢差は心配じゃない?

- (笑)いいえ、心配だったことは一度もありません。なぜならアレクセイ・ニコラエヴィチには豊富な経験がありますから。彼は既に多くのことを経験していて、彼からは学ぶことしかありません。彼は実は気持ちがとても若いんです!(笑)だから、書類やパスポートに書いてある数字は全部無意味です。大事なのは人間が自分のことをどう感じているかです。そして、彼は自分のことをとても調子が良いと感じていますし、彼がまだこの先何年も健康でいられることを願っています。

- 彼との練習で特に好きなのは何?

- たぶん課された問題を具体化することです。彼は何をどのようにどれだけするのか明確に話します。そしてそれは僕の問題を軽くします。なぜなら、僕は自分自身でチャレンジのようなものを考え出す必要がないからです。全て既にアレクセイ・ニコラエヴィチがずっと前に思いついています。

- あなたがいるのは大きなグループで、多くの選手が高いレベルでスケートしていますね。エリザベータ・トゥクタミシェワ、エフゲニー・セメネンコ、ソフィア・サモドゥロワ…これは助けになる?

- もちろんです。なぜならみんなが同じリンクで良いレベルでスケートしていると、やはり否応なしに競争が起こります。そして僕たちは試合するために一緒に練習で滑っています。時々内輪で本当に小さな試合みたいなことが起こることもあります。そしてこれはとても素晴らしいです!

 

プログラムについて:≪理解し、感じ、そしてその感情を見せることができる≫

 

- 今シーズンあなたは長い間ショートプログラムを選んでいましたね。≪くるみ割り人形≫を試し、それからテストスケートでカルーソーを見せ、それからまた≪くるみ割り人形≫に戻しました。あなたにとってこのプロセスがどんなだったか、そしてあなたにとってプログラム選びで重要なことは何か話せる?

- このプロセスはとても面白くて長かったです。そして僕にとって大事なのは、僕がどう曲を感じるかということです。僕は頭の中にあるイメージを描き、それを頼りにして、それを伝えられるかどうかを考えます。≪くるみ割り人形≫はうまくいったと思います。≪シンドラーのリスト≫も。今年はどちらのプログラムもとてもうまくいっています。2つのプログラムを理解し、感じていて、それは僕がこの感情を見せることができるということです。

- ≪くるみ割り人形≫の曲の具体的にどこが気に入っているの?

- 響きがとても気に入っています。オーケストラの。気に入っているのは…わからないけど文字通り全部です!鳴っている全ての楽器の音がとても好きです。鳥肌が立っちゃいます!

- 新しい≪くるみ割り人形≫は≪フィンランディア杯≫での演技後とても良い評価でした。このイメージでの練習はどうだった?

- 僕たちは色々な振付師と練習しました。そしてその皆さんが、それぞれの持ち味のようなものをもたらしてくれたと思います。アレクセイ・ニコラエヴィチが言っているように、出来上がったプログラムは、僕たちがそれまでにやっていた3つのプログラム全てです(笑)つまり、それぞれの人からちょっとずつもらって、それを≪くるみ割り人形≫に使いました。

- きっとあなた自身も何かプログラムに入れたのよね?

- うーん…そうですね。もちろん、大部分はイリヤ・アベルブフの振り付けです。彼には自分のアイデアのようなものがあります。イリヤはすぐに最初から最後までプログラムの完全なイメージを作りました。そしてその物語の全ては、とても論理的にプログラムの中を流れています。そして僕から取り入れているのは、まあわかりませんが、たぶん自分の内部から出てくる時々現れる小さな動きみたいなものかな。

- プログラムにはちょっとした物語があるけど、それを話せる?

- 最初僕は≪木でできた≫兵隊を表現しています。こんな風に(笑)それから、プログラムの中盤にある変化があり、最後は既にプリンスになっています。でも、一番最後に僕はまた全てから隠れます。ちなみに、イリヤには、僕に精神分裂が起こるというようなアイデアがあり、それに基づいて僕たちは話を作っています。

- ≪くるみ割り人形≫の曲はあなたのアイデアだけど、≪シンドラーのリスト≫はアレクセイ・ニコラエヴィチのアイデアね。このイメージについて話してくれる?全く違うし。

- このプログラムで僕は自分がオスカー自身だというヴィジョンを持っています。彼がこの歴史をどう生き、体験したのかを表現しています。痛みや苦しみを経て、彼が最後には多くの人々を助けることができたこと表現しています。そして、プログラムはどちらかというと英雄的です。このプログラムは、システムを壊そうとしたけれど、うまくいったりいかなかったりしたある人物の偉大な行為についての物語です。そこには内面的な葛藤のようなものがあります。僕はそう思っていて、それを表現しています。

- 映画は見て知ってる?

- 最近全体的に見直しました。重い映画です。正直。僕は基本軽い人間なので、軽い映画を見る方が楽です。これは辛い映画でした。

- この曲は他のスケーターたちも滑っていますね。今シーズンも例外ではないです。≪フィンランディア杯≫ではジェイソン・ブラウンと続けて≪シンドラーのリスト≫で滑ることになったけど、これについてどう思う?

- ジェイソンについて話すなら、振り付け、表現、感情の面で全く違うストーリーだと思いました。他のスケーターたちに関しては、それぞれの選手が自分のヴィジョンや音楽感覚を描いていると思います。そして、当然それらはお互いに全く似ていません。もし20人全員が試合で≪シンドラー≫を滑るとしても、同じようにそれぞれ全然違うストーリーになるでしょう。

- いつだったか、あなたにとって衣装はイメージに入り込むのを助けるものだと話していましたね。あなたにとって衣装はどれくらい重要なの?

- かなり重要です(笑)2つ基準があって、まず着心地が良いこと、もう一つは美しいことです(笑)それを着て快適で、思い描く感情を表現できるように。

- 今年の≪くるみ割り人形≫の衣装は特に美しいですね。

- ちなみに、肩章を一つ残すというアイデアはイリヤのものでした。理由は聞きませんでしたが、アイデアは基本的に気に入りました。木でできたくるみ割り人形とプリンスという2つの違うタイプの振り付けですし、僕が最初から既にあたかもプリンスみたいな衣装を着ているというのは矛盾を引き起こしてしまいます。

- あなたにはとても多くの面白いイメージとプログラムがあるけど、自分のキャリアの中でどのプログラムが好き?

- そういうのはないです。全部好きです。僕はどのプログラムも心を込めて最大限に滑っていますから。

- 好きな演技は?リンクから出て、自分がしたことに完璧に満足した時みたいな。

- それもないです(笑)僕はいつも何かに満足していません。全て良かったような時でさえ、やっぱり満足できないところがあります。

- 完璧主義者なの?

- はい。

- 他の人のプログラムで好きなものはある?何度も見直したりする?

- 良いプログラムがとてもたくさんありますし、いくつかは実際何度も見直しています。いくつか理由がありますが、まず最初の理由はただ見るのが面白いということです。僕は観客として座って(腕を組む)見ています。二つ目の理由はあらゆる面白い繋ぎの要素やアイデアを発見できるからです。

- それで、どんなのが特に好きなの?

- 最近のものだとオリンピックのスペインのハビエルのプログラムですね(韓国で行われたオリンピックで銅メダルを獲得したハビエル・フェルナンデスのフリープログラムについての話)。とてもかっこいい!何回も見ました。それから…ジェーニャ・プルシェンコの≪トレアドール≫(2001/2002のオリンピックシーズンの≪カルメン≫の曲のプログラム - 注:Olympics)も何度も見ました。

 

将来と妻のダリアについて:≪自分にしかできないことを全てやるが、その先は観客が決める≫

 

- あなたはとても表現力があるスケーターです。とても上手にイメージを伝えています。誰かにプログラムを振り付けようと考えたことはある?

- 将来誰かにという意味ですか?今言われて考え始めました(笑)良いですね、多分面白いです。そっちの方面はまだ試したことがありません。

- あなたは将来についていつも真剣に考えてる?それとも今のところ後で考えようと思ってる?

- 人生の今の段階では今具体的にすることだけを考えています。今後、次の段階に入ったら、将来何をすべきか考えるつもりです。だから、先のことはまだわかりません。

- それなら、過去と現在について話しましょう。あなたは若い頃、ほとんど子供の頃からの最愛の人と結婚しましたね(妻はスケーターのダリア・コリャダ(ベクレミシェワ)で、ペアで出場していた - 注:Olympics)。あなたにとって、あなたの人生でダーシャはどんな存在?

- 文字通り全てです!僕が生きている意味と言うことができます。彼女のために成し遂げたい。朝起きて目を輝かせてトレーニングへ行き、もっともっと頑張りたいです。

- ダーシャはペア選手でした。いつだったかあなたにとってペアは面白いかもしれないけど、背が低いから、と言っていましたね。

- はい、そういうことがありました。

- 彼女と一緒に演技しているのは想像できる?

- (笑)それはとても難しいです。多分心理的な面でも。僕たちのトレーニングプロセスへのアプローチは違いますから。それに正直言って、どんなことが起こるのか想像さえできません(笑)でも、もちろん試すのは面白そうですね。ペアで滑るならダーシャとじゃないと。他の誰かと滑りたくはないです。

- ダーシャはあなたが演技する時とても心配してる?演技は見ている?

- もちろん心配しています。でも見ていません(笑)録画だけ見ています。滑り終わって、彼女がこんな風に観客かジャッジみたいに落ち着いて見られるように、何かに驚かないように、メッセージか電話でどんなだったかを伝えた後でね。

- 最後の質問です。10年後にスケーターのミハイル・コリャダについて人々に覚えていて欲しいことは何?

- 10年後に覚えていて欲しいことですか?えーと…。まあ多分僕が素晴らしい選手だったということだけですね(笑)これは本当にとても良い質問です。なんて答えたらいいのか本当にわからないので。僕は自分にしかできないことを全てするつもりです。その先は観客が決めることです。僕が覚えられていてもいなくても、とにかく人生は続きます。