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新コーチへのジャンプ。スケーターのミハイル・コリャダはアレクセイ・ミーシンのもとへ移った

6月30日の記事です。

spbvedomosti.ru


新コーチへのジャンプ。スケーターのミハイル・コリャダはアレクセイ・ミーシンのもとへ移った

 最近のフィギュアスケート界の大ニュースは、ミハイル・コリャダの、ペテルブルクのシングルスケーターを育てたヴァレンティーナ・チェボタリョーワから、高名なコーチ、アレクセイ・ミーシンのグループへの移籍でした。ロシアフィギュアスケート連盟には既にしかるべき書類が提出されており、会長のアレクサンドル・ゴルシコフは、≪私たちの側から異議はありません。≫という言葉と共に書類を受け取りました。

コリャダくんとコーチ

 ミハイル・コリャダとヴァレンティーナ・チェボタリョーワ(右)はもう一緒に練習していません。写真 スタニスラフ・クラシルニコフ/TASS

 

 確かに反対するのはおかしく見えるでしょう。これはあるコーチが他のコーチの所の有望な選手を誘い寄せるというような出来事では全くありません。よくその濡れ衣を着せられているエフゲニー・プルシェンコもミーシンの生徒であり、現在は既にコーチでもあります。アレクセイ・ニコラエヴィチ自身、同じ選手たちと長期的に仕事することを好み、そういったことは決してしません。≪私はコリャダを自分のグループには招いていません。選手自身が誰のもとでトレーニングするのかを決める必要があると考えています。≫と、このような移籍のニュースがメディアでプルシェンコの発言と共に出回った昨年の春、ミーシンは言っていました。

 明らかに、彼自身が決めました。より正確言えば決意しました。変化の必要性は、コリャダのキャリアを見守っていた全ての人にはっきりわかりました。平昌オリンピックまで、彼のキャリアは多かれ少なかれ上昇していて、2018年はかなり多くのメダルを獲得しました。グランプリシリーズ中国杯で優勝、グランプリファイナル、ヨーロッパ選手権、世界選手権で銅メダル、そしてオリンピックでも団体戦で銀メダルを獲得しました。

 しかし、オリンピックの成績は、多くの点でまさにミハイルの失敗した演技が、ロシアチームが≪金≫を賭けて戦うのを邪魔したという議論を引き起こすものになりました。既にその時、コリャダと彼のコーチ、ヴァレンティーナ・チェボタリョーワを多くの人が批判しました。これらの出来事が転機になったという可能性があります。結果が下がっていったのはまさにこの後です。

 2018/19シーズン、彼は主要大会でメダルを獲得できませんでした。そして世界国別対抗戦は副鼻腔炎の悪化のため外れました。ちなみにその時、ミーシンの生徒であるアンドレイ・ラズキンが彼の代わりに出場しました。この後、批判の矢がコリャダに向けて四方から飛んできました。≪コリャダは最も才能がある人で、彼には全てがあります。ジャンプ、スピン、スケーティング。意志力だけがありません。≫と、アレクセイ・ヤグディンは言っていました。タチアナ・タラソワも憤慨していました。≪コリャダには全くモチベーションがありません。3、4本の4回転を平然と跳べるのにやっていないし、やろうという考えすら持っていない!彼は自分のスケートに完全に満足してしまっている…。≫

 夏にはコリャダはさらに満足そうに見えました。彼はチェボタリョーワの生徒で、現在はペアでハンガリーの代表として出場しているダリア・ベクレミシェワと結婚しました。しかし、同じスケーターとの結婚はキャリアの再始動の助けにはなりませんでした。秋にはミハイルはテストスケートで失敗し、それからまた副鼻腔炎の治療を始め、手術までして、結局全シーズンを休むことになりました。

 私生活での変化が助けにならなかったからには、コーチの変更という最後の手段しかありませんでした。子供の頃から一緒に練習してきたコーチから離れるのは難しいことですが、ヴァレンティーナ・チェボタリョーワとの協力で得られるものは全て得ていることはもうずっと前から明らかでした。おそらく、6月のノヴォゴルスクでの合宿で一緒に練習してそれを最終的に確認し、コリャダはやはり決意したのでしょう。≪彼のミーシンへの移籍は、どんな場合でも良い効果を与えます。ヴァレンティーナ・ミハイロヴナ・チェボタリョーワはコリャダとの仕事にとても一生懸命で、私は彼女にいつも良く接していましたが、一人のコーチだとスケーターは全て上手くはいかないことがあります。しかし、それぞれに可能性の限界があります。≫と、ロシアフィギュアスケート連盟の名誉会長、ヴァレンチン・ピセーエフは考えています。≪ミーシンはアスリートのポテンシャルを見つける能力があり、コリャダはずっとそれを持っていて、みんなが知っています。≫

 もちろん、ミーシンの≪可能性の限界≫はより高く、良いコーチから偉大なコーチへの移籍は、キャリアの再始動の助けになるはずです。しかし、アレクセイ・ニコラエヴィチであっても魔法使いではありませんし、25歳のスケーターを世界レベルのスターにするのは非常に難しいでしょう。この意味では列車はきっと出発してしまっているでしょう。しかし、誰がわかりますか?ミーシンは年齢の高いスケーターたちと練習する能力があり、来たるべきシーズンは多くの点で宝くじのように見えます。やむを得ないトレーニングの中断のため、恒例のトップ選手たちはコンディションを崩しているかもしれませんし、コロナウイルスの制限により、みんなが不慣れな状況に置かれています。この状況に他の人より慣れるだけで、勝つこともできます。

 ミーシン自身にとってもこの移籍は挑戦です。こんなポテンシャルを持つ男子シングル選手は彼の所にしばらくいませんでした。裏返して言えば、現在偉大なコーチには全ての選手のための十分な時間がないかもしれません。明日始まるキスロヴォツクでの合宿で、コリャダの他に、エリザベータ・トゥクタミシェワ、ソフィア・サモドゥロワ、アナスタシア・グリャコワ、そしてアンドレイ・ラズキンが練習します。彼らそれぞれに自分の野心、課題があり、79歳の指導者は苦労することになるでしょう…。