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アルトゥニアン、トゥルソワが目指す5回転ジャンプとマリニンのスケーティングについて

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≪回転不足時、膝の靭帯が切れるだろう≫:アルトゥニアン、トゥルソワが目指す5回転ジャンプとマリニンのスケーティングについて

2022年4月23日

エレーナ・ヴァイツェホフスカヤ

 

軸の周りを5回転するジャンプの危険性は、それぞれのスケーターたちの前にある一種の心理的壁にあるのではなく、もっぱら着氷時にある。このことについて、RTのインタビューでコーチのラファエル・アルトゥニアンが話しました。彼の言葉によると、このウルトラC要素を実行するためには、最高速度の回転が必要とされ、重傷を負うリスクが高いということです。彼は目標達成のためにどう取り組むべきかを説明し、誰が先駆者になれるかを予想し、イリア・マリニンのスケーティングに磨きをかけたいと話しました。

電話はラファエル・アルトゥニアンがいるトビリシへかけられました。そこで、オリンピックチャンピオン、ネイサン・チェンのコーチは休暇を過ごしています。

 

- 休暇中にフィギュアスケートについて話す準備はできていますか?

- もちろん。

- では、純粋に技術的な質問です。今、あなたが携わるスポーツのファンたちはみんな、アレクサンドラ・トゥルソワが5回転ジャンプを跳ぶのを目指していることについて、盛んに意見を交わしています。これに関連して、私は12年前、文字通り次のように話していた有名なスペシャルフィジカルトレーナーのレオニード・ライツィン(彼は長年この職でソビエト代表メンバーと仕事していました。 - RT)の言葉を思い出しています。≪もし誰かが5回転を跳ぶという目標を立て、十分成長する可能性がある一定量の力を持っているとしたら、その人はできるだろう。≫ 同意されますか?

- 段階的に話しましょうか。トゥルソワが5回転を跳びたがっていると仮定しましょう。同時に何のために?という疑問が湧きます。

- 彼女はこの要素を手に入れる世界で1番最初の人になることを熱望しているのではないかと私たちは予想しています。

- 熱望は十分理由になります。ちなみに、私はライツィンと同意見です。5回転ジャンプは現実のものだと思っています。しかし、次のことを考慮に入れる必要があります。このジャンプの危険性は、決してそれぞれのスケーターたちの前にある一種の心理的壁にあるのではありません。それは着氷にあります。5回転にはとても速い回転が必要です。やはり選手が空中にいる時間ははっきりと限られていて、回転数を決めるのは回転速度だけです。同意されますか?

- もちろん。

- ですから、もしその選手がいわゆる≪4分の1≫、つまり回転不足で着氷するのがまっぴら御免な場合、着氷時の回転速度が原因で膝の靭帯が切れてしまうくらい足を急に曲げてしまうかもしれません。こういうジャンプを習得することはもちろん可能です。しかし、これはかなり難しいプロセスかもしれません。ハーネスを使うには一定の資質が必要です。

十分に背が高く、おまけにスケーターに付いて行き、選手の邪魔をしないくらい滑りが良くなければなりません。5回転には、正しい回転角度を作り出すために、より長くよりパワーのある助走が必要です。それに、背の高いスペシャリストは、より自由にハーネスを扱う余裕があり、それを自分から離して維持することができますが、これが重要です。選手を守る人が近過ぎると、一気にスケーターの範囲を狭めます。

これ以外に、5回転を跳ぼうとしているスケーターにはとても優れたジャンプテクニックが必要です。これが必須条件です。

- あなたにはフェンスの側で練習中のトゥルソワを観察する機会が何度もありましたが、あなたの見解では、彼女には考えついたことを実現するための身体的資質が十分にあるでしょうか?

- 彼女は十分高くジャンプし、空中で速く回転しています。彼女にはとても良いルッツとトウループがあります。どちらのジャンプも、もしはっきりした目的意識を持ち練習するならば、5回転目の回転を足すのに十分現実的なものです。しかし微妙なところもあります。女子たちを教えているコーチ全員が、ある日その子がジャンプしても、次の日はジャンプ姿勢が取れないことを知っています。女子たちはこの点が特別です。

男子について話すなら、ネイサン・チェンが良いコンディションの時、私は彼が5回転目を足せるくらいの4回転トウループを跳ぶのを何度も見ました。その上、時々ネイサンは実際にそのジャンプに挑戦しました。別の言い方をすると、このジャンプを練習することは可能だし必要です。しかし、私がインタビューの冒頭でした何のために?という質問に戻りましょう。5回転ジャンプには公式の点数さえないのですよ。

- 5回転について話しているトゥルソワが、いつかプログラムにこのジャンプを入れるつもりがあるとは思いません。しかし、彼女は明らかに1番になるのが好きです。まさにアレクサンドラが何度かギネスブックに登録されたことは偶然ではありません。

- 私は少し別のことを考えています。もうとっくに要素のリストに5回転ジャンプを入れる時期です。みんながその点数がどれくらいかわかるように。突然誰かが実際にそれを試合で跳んだらどうなりますか?ジャッジはどうしますか?

- 4回転ジャンプについて話すなら、どのジャンプが一番長い助走が必要でしょうか?

- ルッツです。トウループはネイサンは僅か一歩の助走で跳べます。ルッツの場合、一番快適にジャンプできる場所に達するためには2、3歩必要です。あなたが携わるスポーツ(飛び込みですね)と比較すると、跳躍台で跳躍するみたいなものです。助走が増え、二回転が生まれました。そしてすぐに原則的にジャンプの高さも増しました。フィギュアスケートでもメカニズムは同じです。

- 数年間あなたが定期的に指導しているイリア・マリニンは最初に5回転を跳ぶ選手になれるでしょうか?

- はい。私が彼の練習に完全に責任を追うことは難しくなるだろうというのは別の問題です。今、私たちがイリアとやっている形式でジャンプを教えることはできます。しかし、多くのことは、ご両親がこの先彼とどんな道を選ぶのかによります。もし、イリアが、以前からやっているように主にジャンプの練習を続けるなら、彼はもちろん5回転を跳ぶでしょう。しかし、きっとそれ以前に彼は4回転アクセルを跳ぶはずです。その後で、5回転を跳ぶのは、既にそれほど難しく感じられないでしょう。

しかし、個人的には私は彼のスケーティングをとても成長させたいのです。少し洗練したい。マリニンはとても興味深い青年です。あらゆる点で。そして、彼の側にはこの興味深さをどう見せるか知っているプロがきっといるはずです。もしご両親が、私と仕事を続ける必要があると考えているなら、私たちのクラブにはこの課題を実現でき、イリアのスケーティングを唯一のものにできるスペシャリストたちがいます。

- 本当に、チェンとあなたがしてきたのと同じように、イリアとの仕事に焦点を合わせてみたいとは思われないのですか?

- 試すことはできます。ただその後、このコーチの負担を減らすことは極めて難しくなるでしょう。

- おそらくこの質問をあなたにするべきですね。いつ休暇から戻られるのですか?

- 戻るのはすぐではありません。トビリシからイスタンブールへ行きます。そこに妻のヴェーラがアメリカから、子供たちがモスクワからやって来ます。アーニャとアンドレイは二人とも歴史家ですから、街を案内してくれたり、全てを見せてくれたり、全てについて語ってくれます。3日間、金角湾が見えるホテルに滞在します。ですからスルタンの気持ちが味わえるでしょう。


もしかしたらトゥルソワちゃんは国際大会に出られないからこういうことをモチベーションにするしかないのかもしれないですね。でも、ケガには気を付けて欲しいです。

マリニン君は本当に近々跳んじゃいそうで…🤭